熱海 vs 三島──私が断然「三島派」のワケ! インスタ映え観光の終焉? リピーター率7割の魅力を考える

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SNS時代の観光振興において、三島市は地域固有の魅力を活かし、持続可能な観光地づくりのモデルを示している。富士山や三嶋大社など、観光資源の本質的な価値を大切にし、リピーターを生み出す戦略が安定した成長を支える。今後の観光地づくりに重要な示唆を与える事例として注目される。

持続性なき投資のリスク

竹田城跡(画像:写真AC)
竹田城跡(画像:写真AC)

 SNSによる観光の影響は短期的なものにとどまりやすい。インスタ映えを目的に訪れる観光客は多いものの、その関心は移ろいやすく、必ずしも地域経済の持続的な発展につながるわけではない。

 例えば、渡辺隼矢・桐村喬の研究「写真付きSNS投稿データからみた観光地への関心の時系列変化」(日本地理学会発表要旨集2018)では、兵庫県朝来(あさご)市の竹田城跡を対象に調査を行っている。

 竹田城跡は2012(平成24)年9月以降、SNSで「天空の城」として話題となり、2012年には月間投稿数が19.9件だったものが、2014年には93.8件へと急増した。しかし、その後2015年には44.0件、2016年には45.5件と半減し、ブームの終焉が明確になった。

 こうした一過性の観光ブームは、地域経済にとって深刻な課題をもたらす。SNSでの話題性に依存する観光地は、常に新たなコンテンツを生み出し続けることを求められる。インスタ映えのトレンドは変化が激しく、一度

「古い」

と見なされれば、急速に観光客の関心が薄れてしまう。そのため、観光地は話題性を維持するために、絶え間ない投資を強いられる。しかし、こうした追走型の観光開発には限界がある。

 観光客の多くは「映える写真」を撮ることが目的であり、地域内の滞在時間は短く、宿泊や飲食といった消費にはなかなか結びつかない。また、SNS上での評価や人気は予測が難しく、新たな投資を行ったとしても、それが収益に直結する保証はない。最近、多くの観光地がプロジェクションマッピングを導入しているのも、こうした状況を象徴している。話題を生み出し続けなければ成り立たない

「自転車操業」

に陥り、最終的には観光地としての独自性すら失われかねない。

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