熱海 vs 三島──私が断然「三島派」のワケ! インスタ映え観光の終焉? リピーター率7割の魅力を考える
SNS時代の観光振興において、三島市は地域固有の魅力を活かし、持続可能な観光地づくりのモデルを示している。富士山や三嶋大社など、観光資源の本質的な価値を大切にし、リピーターを生み出す戦略が安定した成長を支える。今後の観光地づくりに重要な示唆を与える事例として注目される。
SNS依存の誘客戦略、その光と影

SNSが集客ツールとして重要であることは否定できない。熱海市の事例は、その有効性を如実に示している。2013(平成25)年2月、熱海市は「シティプロモーション基本指針」を策定し、デジタルメディアを活用した情報発信を強化。その結果、2011年に523万1252人だった観光客数は、2019年には721万7162人(38%増)まで回復した。コロナ禍で一時落ち込んだものの、最新の2022年のデータでは551万5520人にまで持ち直している。
近年、特に重視されているのがインスタ映えだ。
・熱海城からのパノラマビュー
・熱海トリックアート迷宮館
・ライトアップされた熱海サンビーチ
など、かつて寂れた温泉街だった熱海は、いまや写真映えするスポットの宝庫となっている。かつての熱海を知る人にとっては、
「熱海城 = 秘宝館」
のイメージが強く、この変貌ぶりには驚かされるだろう。インバウンド需要にも積極的に対応し、中国人インフルエンサーを招くなど、SNSを活用した誘客戦略を推進している。
しかし、この成功には不安定さがつきまとう。SNSによる人気は突発的に生まれ、同じように急速に失われる可能性がある。観光客の増加に対応してインフラを整備すれば過剰投資のリスクが高まり、逆に対応を見送れば満足度の低下を招く。いずれを選択しても容易には解決しない課題を抱えることになる。
このジレンマは、SNSに依存した観光戦略の本質的な脆弱性を示している。観光客の動向は予測が難しく、一過性で終わる可能性が高いにもかかわらず、受け入れ環境の整備には多額の投資が必要だ。では、より安定的な観光振興の道はないのか。そのヒントは、三島市の取り組みにある。