熱海 vs 三島──私が断然「三島派」のワケ! インスタ映え観光の終焉? リピーター率7割の魅力を考える

キーワード :
,
SNS時代の観光振興において、三島市は地域固有の魅力を活かし、持続可能な観光地づくりのモデルを示している。富士山や三嶋大社など、観光資源の本質的な価値を大切にし、リピーターを生み出す戦略が安定した成長を支える。今後の観光地づくりに重要な示唆を与える事例として注目される。

三島市、求められる「目的地化」

インスタ映えのイメージ(画像:写真AC)
インスタ映えのイメージ(画像:写真AC)

 三島市の観光には大きな可能性がある一方で、克服すべき課題も少なくない。最大の問題は、観光客の95.7%が

「日帰り客」

であり、宿泊をともなう観光がわずか4.3%にとどまっている点だ。さらに、三島スカイウォークや三嶋大社といった特定のスポットに立ち寄るだけで、市内での回遊性や消費額の向上にはつながっていない。この背景には、三島市の

「立地特性」

が大きく関係している。新幹線が停車し、道路網も充実している三島市は、富士箱根や伊豆といったメジャー観光地へのハブとして機能している。しかし、皮肉にもこの優れたアクセス性が、三島市を単なる通過点にとどめる要因となっている。

 とはいえ、三島市の観光には他の地域にはない強みがある。その根拠は、7割という高いリピーター率と、観光資源の本質的な価値だ。富士山の眺望、源兵衛川の水辺、三嶋大社といった観光資源は、SNSのトレンドに左右されることなく、持続的な魅力を持ち続けている。

 加えて、観光情報が主にテレビや口コミを通じて伝播している点も注目に値する。これは、実際に訪れた観光客の体験に基づく評価が、新たな来訪者を呼び込む好循環を生んでいることを示している。

 この特徴は、SNSの一過性の人気に依存する熱海市とは対照的だ。熱海はインスタ映えするスポットの創出によって短期的な集客には成功しているが、その人気は移ろいやすく、インフラ整備も後手に回りがちだ。一方で、三島市は時代に左右されない観光資源と高い満足度を持つ。今後の課題は、この強固な基盤をいかに活かし、滞在時間と消費額を増やすかにある。

 インスタ映えを優先するのか、それとも本質的な観光資源を磨くのか。この選択が観光地の未来を大きく左右する。熱海と三島の比較から見えてくるのは、SNSでの話題性に依存する観光開発の不安定さだ。短期的な集客に成功することは重要だが、持続的な発展のためには、観光資源そのものの価値を高め、長期的な魅力を生み出す戦略が不可欠となる。

全てのコメントを見る