コロナ禍で物流大混乱も 海運大手の「コンテナ船事業」が絶好調なワケ
好調の要因とは

ONE社における好調な業績の要因は、
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・旺盛な貨物需要
・物流の混乱による運賃高騰
にあるという。北米航路における月別運賃指数の推移においても、2020年後半から異常に運賃が上昇していることがみてとれる。
2019年から2020年前半にかけて、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスによる先行きの不透明感から、中国におけるコンテナ製造量が低下していた。元々コンテナの供給量が絞られているなか、2020年後半から北米における巣ごもり需要などにより荷動きが活発になった。
しかし、新型コロナウイルスの影響による人手不足で、港湾施設をはじめ陸送部門が機能しておらず、港湾でのコンテナの滞留が発生した。そして現在に至るまで、物流部門の人員不足などにより、需給が逼迫(ひっぱく)している状況が続いている。
ヨーロッパでは過去最高を記録する会社も

ドイツのHamburger Hafen und Logistik AG(HHLA社)は、昨年の売上高が13%増の1834億円(1ユーロ131円で換算)となった。HHLA社は、ハンブルグで港湾事業と貨物輸送を手掛けている会社である。売り上げ増の要因は、主に港湾事業であった。コンテナ船の到着の遅延や物流の混乱により、港湾施設でのコンテナの滞留が発生し、保管料の収入増につながったとのことである。
デンマークの海運会社Maersk社は、昨年の売上高が55%増の7兆3542億円(1ドル119円で換算)となった。これは、Maersk社における過去最高記録であるほか、デンマーク国内の記録をも塗り替えた。これほどまでの利益をたたき出した要因は、コンテナ輸送価格の上昇によるとのことだ。
Maersk社はこの利益を元に企業の買収を進め、ロジスティック事業を拡大している。昨年11月にドイツの航空貨物会社Senator Internationalの買収を発表した。さらには、アメリカのPilot Freight Services社を約2000億円(1ドル119円で換算)で買収するとのことである。
スイスに本社を置く世界的な海運会社Mediterranean Shipping Company(MSC社)も、記録的な売り上げを元に事業の拡大を進めている。現在、ドイツのルフトハンザ航空と共同で、イタリアの国営航空会社ITAエアウェイズの買収を提案中である。MSC社は、貨物輸送や港湾業務、海運、旅客輸送、豪華客船事業を交えたプラットホーム戦略を進めている。