「交通費0円」で旅行できるって本当? なんと行き先の自治体が負担! しかも経済効果2倍以上の実績、アプリ「FreeTraffic」の仕組みとは
遠方旅行の交通費を自治体が支援する新たな試みが注目を集めている。ポイントアプリ「FreeTraffic」は、北海道当別町でのポイント還元事業を開始し、実証実験では41人の旅行者に対し、自治体の交通費負担額の2.32倍に相当する経済効果を確認。これにより、旅行者の移動ハードルを下げ、地域経済に新たな活力をもたらす可能性が示唆されている。
データ不足の中での期待感」

この結果をもって「FreeTrafficは絶大なインバウンド効果をもたらす」と結論づけるのは、少し早計である。
島牧村での実証実験に参加した旅行者は50人未満であり、そもそもの母数が少ない。加えて、プレスリリースのタイトルは「旅行者の交通費を自治体等が負担すると、負担額の4.14倍の直接経済効果が発生」と、若干誇張された表現になっている。実際、「負担額の4.14倍」とは、41人中23人(通常旅行者)を対象にしたデータに過ぎない。全体的な直接経済効果は2.32倍である。
実証実験には大きな意義があり、サービス本運用に向けた貴重なデータが得られた点は評価できる。しかし、この結果だけで
「自治体が予算を組んで実施する旅行者向けポイント還元事業は絶大な効果が期待できる」
と断言することはできない。まだ十分なデータが揃っていないからだ。
さらに、島牧村や当別町と比べて人口規模が大きい市区町村でFreeTrafficのポイント還元事業がうまくいくかどうかも不確定である。繰り返しになるが、この取り組みは自治体が税収から予算を捻出して実施する公共事業であり、
「市民の理解」
が不可欠である。