商店街はやっぱり「アーケード付き」に限るワケ
商店街の衰退が進むなか、象徴的なアーケードが持つ価値は単なる「屋根」以上に深い。快適さ、一体感、地域のコミュニティー形成を支えるアーケードが、未来の商店街再生の鍵を握っている。高齢化やECの普及に負けない「地域特有の空間」として、再設計と新たなデザインが求められている。
商店街の「顔」

日本の都市部や地方に点在する商店街――。昭和の高度経済成長期に地域経済と生活を支える中心的な存在として発展した商店街もある。しかし近年、ショッピングモールやECサイトの普及により商店街全体の衰退が進んでいる。さらに、象徴的なアーケードの撤去が相次ぎ、景観や利便性が失われつつある。
アーケードは商店街の「顔」として機能してきた。雨や風を防ぎ、季節に関係なく快適な買い物環境を提供してきたが、老朽化や維持費の問題から取り壊しや改修が進んでいる。その結果、昔の賑わいが失われ、人々の足が遠のくという悪循環が生じている。
この状況に対して、
「そもそもアーケードは必要なのか」
という意見も存在する。しかし筆者は、アーケードが商店街にとって単なる屋根以上の役割を果たしていると考える。その理由を以下に示していきたい。