羽田に縛られない! 関空拠点の「ジェイキャス」本当に成功できるか? 地域航空への変わらぬ不信感が試練に
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地方間路線をターゲットに、ジェイキャスエアウェイズは効率的な小型機運行と安定運賃で市場に挑戦。しかし、鉄道と異なる収益構造や競争の激化、地域との信頼関係構築が成功のカギとなる。
鉄道と航空の需要構造の違い
国内外の事例を踏まえて、ジェイキャスの勝算について改めて考えてみる。結論として、地域航空会社として発展するには多くの限界がある。
小型機で差別化を図るとなれば、サービスの高度化は難しく、料金勝負に頼る可能性が高い。しかしその場合、ビジネスとしての持続可能性に疑問が残る。ジェイキャスは、JRのような変動の少ない料金体系を目指しているとされているが、鉄道と航空の違いを考えると課題が多い。
例えば特急や新幹線は、起点と終点の直行需要だけでなく、途中駅での小規模な需要を拾い上げたり、大都市内で複数駅に停車したりすることで安定した収益を上げている。東海道新幹線がその典型例だ。また、鉄道ファンには「ひたち」や「あずさ」、「しなの」など本数の多い特急列車を思い浮かべる人もいるだろう。
ジェイキャスが計画している大阪~富山間の路線を例にとると、北陸新幹線開業前に運行されていた「サンダーバード」が参考になる。この列車は、大阪、新大阪、京都の三大都市圏の主要ターミナルに停車し、敦賀、福井、小松、金沢、高岡といった北陸の都市間需要も確保していた。
一方で、航空路線では時間短縮が最優先のため、直行需要以外の需要を作り出すのが難しい。一区間だけで空席を埋めるのは困難で、結果的に需要に応じた料金の変動が必要になる。しかし、空席を埋めるために値引きをしすぎると、採算割れに陥るリスクが高まる。
このように考えると、ジェイキャスのビジネスモデルには多くの課題があり、持続可能な成長を実現するには慎重な戦略が求められる。