羽田に縛られない! 関空拠点の「ジェイキャス」本当に成功できるか? 地域航空への変わらぬ不信感が試練に

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地方間路線をターゲットに、ジェイキャスエアウェイズは効率的な小型機運行と安定運賃で市場に挑戦。しかし、鉄道と異なる収益構造や競争の激化、地域との信頼関係構築が成功のカギとなる。

関空発、地方連携の可能性

ATR72-600のイメージ(画像:ジェイキャスエアウェイズ)
ATR72-600のイメージ(画像:ジェイキャスエアウェイズ)

 ジェイキャスエアウェイズは、地方間の路線で採算を取るため、50以上の候補路線を考えた上で計画を立てている。そのなかで関空~富山、米子路線を選んだ理由として、経済メディア「Newspicks」のインタビューによると、次のような予測があったとされる。

・陸路での移動時間が200分以上かかる路線では、約2割の客が航空路線を選ぶと予想している(例:1日に2000人輸送する路線であれば、400人が航空機を利用する計算)。
・1日400人の利用者であれば、4往復(8便)運行すれば、50人乗車で採算が取れる。
・50人という目標は、ATR72-600型機の定員(70人)の約66%にあたる。この規模であれば持続可能な採算が見込める。

 また、搭乗率が6割程度であれば、片道1万1000円程度の運賃で採算が取れると予測されている。この金額はJRの特急料金とほぼ同じで、陸路では時間がかかるものの、一定の輸送人数が確保できる関空~富山、米子路線を選んだ理由だと考えられる。ちなみに、新幹線と特急を使う場合、大阪~富山間は1万90円、大阪~米子間は1万1430円となる。

 さらに同社は、自治体からの助成金には頼らず、民間からの資金調達のみで運営を進めている。このように、地方間での路線設定においても、ビジネスとして成り立つ路線に注力しているといえる。

 ジェイキャスの理念からは外れるかもしれないが、首都圏と地方を結ぶ路線を選ぶ可能性もあっただろう。しかし、首都圏の空港である成田や羽田は発着枠の確保が難しい上に、陸路で200分以上かかり競合が少ない路線を見つけるのは容易ではない。そのため、ジェイキャスが最初に関空を拠点に選び、成田への就航計画を立てていないのは、このような背景を考慮してのことだと思われる。

また、運賃についてはJR特急のように変動の少ない料金体系を採用する計画だ。この戦略によって、関空を拠点に存在感を持つ格安航空会社(LCC)のピーチなどと差別化を図ろうとしているようだ。

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