羽田に縛られない! 関空拠点の「ジェイキャス」本当に成功できるか? 地域航空への変わらぬ不信感が試練に

キーワード :
,
地方間路線をターゲットに、ジェイキャスエアウェイズは効率的な小型機運行と安定運賃で市場に挑戦。しかし、鉄道と異なる収益構造や競争の激化、地域との信頼関係構築が成功のカギとなる。

独自路線に挑むも成功薄い現状

就航路線(画像:ジェイキャスエアウェイズ)
就航路線(画像:ジェイキャスエアウェイズ)

 ジェイキャスのような会社は海外にも多く存在していて、かつては「コミューター・エアライン」と呼ばれていたが、今では地域航空会社(リージョナル・エアライン)と呼ばれるのが一般的だ。米国のスカイウエスト航空やオーストラリアのサンステート航空がその代表例だ。

 ただし、これらの会社の多くは大手航空会社のパートナーとして運営されていて、大型ハブ空港から各地の小さな空港を結ぶ路線を受託運航している。実際には運航会社としてその航空便を担当していても、乗客には提携先の大手航空会社の名前で認識されることがほとんどで、運航会社自体のブランドが浸透することは少ない。

 市場の動向を見ても、地域航空会社の事業は必ずしも成長しているとはいえない。1990年代から2000年代初頭にかけては、小型ジェット機(リージョナル・ジェット)の普及や、大手航空会社によるリストラ策としての運行受託の増加が追い風となり、地域航空会社の市場は拡大した。例えば、米国では2000年の有償旅客マイルが243.8億ドルだったのに対し、2005年には674.1億ドル、2011年には756.56億ドルに達しピークを迎えた。しかし、その後は伸びが止まり、国内線の50%以上を地域航空会社が運航するようになったものの、機材の大型化が進んだことで1日あたりの平均便数は2010年代以降減少傾向にある。

 こうした状況のなか、米国では地域航空会社の倒産や合併による業界再編が進んでいる。地域航空会社のビジネスは、大手航空会社との契約上、制約が多く成長に限界がある。そのため、自社で独立したビジネスを展開しようとする動きもあったが、成功例はほとんどない。

 例えば、英国ではブリティッシュ・エアウェイズの一部路線を引き継ぐ形で設立されたFlybe(フライビー)がある。同社はロンドン発着便を除く英国国内線の5割以上を担い、欧州各地への路線展開やフィンランドに子会社を設立するなどの独自戦略で、数少ない成功例として知られていた。しかし、英国の欧州連合(EU)離脱やコロナ禍の影響を受けて2020年に経営破綻した。

 さらに、Flybeはイージージェットやライアンエアーといった、低コストで洗練されたビジネスモデルを持つLCCとの競争のなかで、十分な差別化ができなかった。BBCによると、そのビジネスモデルは「時代遅れ」と評価されていたという。

全てのコメントを見る