羽田に縛られない! 関空拠点の「ジェイキャス」本当に成功できるか? 地域航空への変わらぬ不信感が試練に

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地方間路線をターゲットに、ジェイキャスエアウェイズは効率的な小型機運行と安定運賃で市場に挑戦。しかし、鉄道と異なる収益構造や競争の激化、地域との信頼関係構築が成功のカギとなる。

地域航空の新潮流が示す成長戦略

 2000年代までに日本では、日本エアコミューターやオリエンタルエアブリッジ、IBEXエアラインズなどの地域航空会社が設立されてきた。しかし、これらの会社はJALやANAの資本が入っていたり、共同運航されていたりするため、自律した経営ができているとはいい難い。

 ところが、2010年代後半からは、ジェイキャスのように大手系列とは異なる地域航空会社を立ち上げる動きが全国各地で見られるようになった。その代表例が、同じATR72-600型機を使用して新潟を拠点に運航を開始したトキエアだ。

 2023年に就航したトキエアは、離島振興補助金の不適切需給にともなう返還問題や、機材故障による運休といった課題を抱えながらも、新潟~仙台、札幌(丘珠)、名古屋の3路線を展開している。2025年には、神戸や成田といった日本の2大都市圏の空港で発着枠を確保する予定で、さらなる成長が期待されている。

 準備中の会社としてはフィールエアが挙げられる。この会社は、19席以下の小型機を使用し、ジェイキャスよりさらに小規模な運航体制で全国各地に支社を設け、フランチャイズ形式でネットワークを拡大する戦略を描いている。報道や同社の公式情報から推測すると、成田空港、調布空港、松本空港、小牧空港、関空、北九州空港などが拠点として考えられているようだ。

 しかし新興の地域航空会社には、過去にレキオス航空やリンク、エア奄美などが就航前に資金不足で経営破綻した例がある。そのため、国土交通省や自治体、メディア、住民などからの不信感が強く、開業に向けてのハードルは非常に高い。

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