カネか伝統か? 京都市が直面する「景観」と「経済」のジレンマ! タワマン、本当に必要? 高さ規制緩和で変わる街並みを考える

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京都市は、規制緩和を進めることで経済活性化を目指す一方、歴史的景観の保護とのバランスが求められている。税収増加や若年層定住促進には、住宅供給自由化と地域内就業機会確保がカギとなるが、京都らしさを損なわず、持続可能な発展を実現するための慎重な対応が求められている。

筆者への反対意見

京都の風景(画像:Pexels)
京都の風景(画像:Pexels)

 一方で、この規制緩和に対する反対意見は、京都の本質的な価値に深く関わる重要な指摘を含んでいる。最大の懸念は、経済活性化を重視するあまり、場当たり的な開発が進んでしまうことだ。

 京都市がこれまで目指してきた景観保全は、単に洛中の歴史的な町並みを守ることにとどまらず、

「京都盆地全体の景観」

を守ることで都市の価値を高めることにあった。この理念は「京の景観ガイドライン」にも明記されており、そのなかで示されている「歴史都市・京都の景観形成に関する5つの基本的な考え方」は、京都が大切にしてきた景観づくりの指針となっている。

1.「盆地景」を基本に自然と共生する景観形成
2.伝統文化の継承と新たな創造との調和を基調とする景観形成
3.「京都らしさ」を活かした個性ある多様な空間から構成される景観形成
4.都市の活力を生み出す景観形成
5.行政,市民,事業者等のパートーナーシップによる景観形成

 これら5つの基本的な考え方は、京都が目指してきた景観づくりの指針として、重要な役割を果たしている。まず、京都の景観づくりにおいては、「盆地景」を基盤とし、自然との共生が大切にされている。京都盆地の特有の地理的特徴を活かし、周囲の山々との調和を図ることで、自然環境と都市が調和した景観を実現しようとする。

 次に、京都では、伝統文化を継承しながら、新たな創造との調和を図ることが求められている。長い歴史を尊重しつつ、現代的な要素を取り入れ、伝統と革新が調和した都市景観を生み出すことが目指されている。

 また、京都らしさを活かした、個性豊かな空間をつくることも重要なテーマとなっている。これにより、京都ならではの魅力を引き出し、訪れる人々に深い印象を与えるような都市景観が形成されている。

 さらに、京都では、景観が都市の活力を生み出すと考えられており、美しい街並みや公共空間が活気を帯びることで、地域の発展や経済活動を促進し、都市全体の活力を高めることが目指されている。

 最後に、景観づくりには行政、市民、事業者が協力し合うパートナーシップが欠かせないとされており、地域全体で協力し、共に景観づくりを進めることで、より良い結果を生み出すことが信じられている。これらの考え方に基づき、京都市は都市全体が自然と調和し、京都独自の景観を創り出すことを目指している。

 つまり、京都市が目指してきた景観保護は、一部の歴史的な町並みを守ることにとどまらず、都市全体が自然と調和し、京都ならではの独自性を持つ景観を創出することを目標としてきたのである。

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