カネか伝統か? 京都市が直面する「景観」と「経済」のジレンマ! タワマン、本当に必要? 高さ規制緩和で変わる街並みを考える

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京都市は、規制緩和を進めることで経済活性化を目指す一方、歴史的景観の保護とのバランスが求められている。税収増加や若年層定住促進には、住宅供給自由化と地域内就業機会確保がカギとなるが、京都らしさを損なわず、持続可能な発展を実現するための慎重な対応が求められている。

筆者の意見

京都の風景(画像:Pexels)
京都の風景(画像:Pexels)

 景観規制の緩和が京都の歴史的価値を損なうのではないかという懸念は理解できるが、京都市が“千年の都”として今後も発展し続けるためには、現在進められている規制緩和が不可欠な選択だといえる。

 その理由は、京都が単なる観光地ではなく、実際に多くの市民が暮らしている

「生活都市」

であることにある。これまでの厳しい景観保護政策は、住宅供給を大きく制限し、その結果、一般市民が京都に住むことが困難になってしまった。

 特に近年、不動産価格が高騰し、京都の住宅を購入できるのは主に海外や市外の富裕層に限られている。彼らは別荘として住宅を利用することが多く、住民登録をしないため、住民税は納めず、固定資産税のみが支払われている。こうした状況は、京都が“住まう街”としての機能を弱めていることを意味している。

 京都の持続的な発展には、実際に住み働く市民が不可欠だ。そのため、必要な規制緩和は慎重に計画されており、緩和される対象となるのは、京都市内でも伝統的な中心市街地である洛中ではなく、

「洛外の地域」

が中心となっている。規制緩和が行われたエリアのひとつである西院駅周辺は、ちょうど境界のあたりに位置している。

 このように、規制緩和は京都の歴史的景観を損なうことなく、必要な住宅供給を促進するものであり、都市の活力を保つためには、この程度の規制緩和が必要な選択だといえるだろう。

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