移動革命の切り札「MaaS」、なぜ日本で全然広がらない? 「認知度18%」が突きつける辛らつ現実とは
MaaSは、異なる交通手段を一つのプラットフォームで統合し、移動の効率化を目指す革新的な技術だ。しかし、2022年の調査ではその認知度は18.3%にとどまり、内容理解は5.9%に過ぎない。日本におけるMaaS普及には、地域間のサービス連携や技術革新だけでなく、広範な認知拡大が鍵を握る。
サブスク時代のモビリティ革新

「交通」とは主に移動手段を指すのに対して、「モビリティ」には移動そのものだけでなく、その前後の活動や施設へのアクセスも含まれる。MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)を開発し、活用するためには、この「交通」から「モビリティ」への発想転換が求められる。
例えば、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に住む人が病院に行く際、診察予約を基に、時間に合わせてオンデマンドで配車されるサービスや、旅行者が電車やシェアバイクなどを組み合わせて観光スポットを巡り、事前に予約した博物館に入場するケースが考えられる。
また、航空機を利用し空港からホテルへ向かい、荷物を置いて一息ついた後に予約していたレストランに向かうなど、人々の移動ニーズは多様で一度きりの旅に限らず、サブスクリプションサービスで繰り返し利用されることもある。
同じ地域を繰り返し回遊する場合、複数のサービスと料金体系を用意し、移動と活動をシームレスに結びつけ、サービス間での決済統合を行うことが求められる。このためには、単なる技術革新だけでなく、実際の実装に向けた創意工夫や継続的な改善が欠かせない。
MaaSには、公共交通機関からAIを活用した配車アプリ、オンデマンド交通サービスなど、さまざまな形態のサービスが存在する。例えば、仙台MaaSでは、公共交通やタクシー、観光施設などを組み合わせて利用することができる。