トヨタが、人口わずか2万5000人の「フランスの片田舎」を新挑戦の場に選んだワケ
フランス・ヴィシー市でトヨタが仕掛ける「インクルーシブなモビリティ革命」。移動困難な約30%の人々を支えるため、新型GPSや先進的なスタートアップと連携し、身体障がい者向けの革新的な交通ソリューションを開発中。
フランス小都市で描くモビリティの未来
パリから南へ約350kmにあるヴィシー市。第2次世界大戦中にフランス政府が置かれた場所として知られているが、最近ここでトヨタがインクルーシブ(包摂的)なモビリティに取り組み始めた。
【無料セミナー】「自動車DXサミット vol.3」 三菱ふそう KTC マツダ登壇 Amazonギフトカードプレゼント〈PR〉
以前、トヨタ・モビリティ基金は、ヴィシー市と三つのスタートアップ企業とパートナーシップを結んだ。この小さな町で何を目指しているのかが注目されている。
世界でも有数の自動車メーカーが、なぜ人口2万5000人に満たないフランスの地方都市を新しい挑戦の場に選んだのか。その理由を詳しく見ていこう。
9.2ha施設から始まる新時代の移動支援
トヨタが「誰も取り残さないインクルーシブなモビリティ・ソリューション」を目指して動き出した。
移動が困難な人たちのために、完全に適応する新型衛星利用測位システム(GPS)を開発している。このプロジェクトの拠点は、ヴィシー市にある9.2haの広大な施設「Le CREPSトレーニング・キャンパス」だ。
開発の一環として、身体障がい者向けに屋内外のナビゲーション機能やヴィシー市への主要ルートをマッピングしている。「コネクテッド・パーソナル・モビリティ」というインターネット接続型の個人モビリティ技術を活用し、あらゆる地形で使えるマッピング機能を強化しているのが特徴だ。
これにより、最適なアクセスルートを正確に割り出し、交通機関やMaaSプロバイダーが誰でも歩行や移動をしやすくなるようサポートする。
この完全適応型GPSは、身体障がい者や移動が不自由な人々を対象にした初の試みとなる。ヴィシー市で実現するこのソリューションは、他の地域でも応用可能なベストプラクティスとして期待されている。