「夜行急行」が鉄道観光を復活させる? 「寝台2両+座席主体」という新提案、“夜行専用会社”があったら面白くないだろうか?【連載】夜行列車現実論(2)
コストと利便性の均衡

先日、筆者(北條慶太、交通経済ライター)は当媒体に「「寝台列車」本格復活のカギは出張? 「ホテル高騰時代」に光る新たな魅力、コスト削減と快適性で注目か」(2024年11月20日配信)という記事を執筆した。その記事の要点は次の通りだ。
・現在、定期運行している寝台列車は「サンライズ出雲」と「サンライズ瀬戸」などがあり、4社による運行となっている。
・かつてのブルートレインは長距離運行が多く、運行管理が難しいため、多くは廃止された。
・出張規定では宿泊費支給方法が変更され、安価な宿泊を選んだ場合の不公平感が問題となっている。
・新幹線の発展により宿泊の必要性が減少し、出張時間の短縮や観光・接待の回避が進んでいる。
・企業側には宿泊費削減のメリットが、出張者側には移動中に睡眠をとれるというメリットがあり、夜行列車の復活に期待が集まっている。
・夜行バスに比べて寝台列車は「横になれる」ため、ビジネスユースに適しており、需要が見込まれる。
・寝台列車には運行管理やコスト面での課題があり、現状では運行しない方がよいという意見もある。
・サンライズ列車の代替編成には高額なコストがかかり、価格を下げるのは難しいが、ビジネスユーザーにとっては多くのメリットがある。
・寝台列車の復活は、長期的な鉄道維持と成長戦略の一環として重要な選択肢と位置づけるべきである。
この記事には約300件のコメントが寄せられ(11月25日朝時点)、そのなかで興味深い提案があった。それは、東京~盛岡、東京~新潟、東京~金沢、東京~大阪、大阪~新潟、大阪~出雲、大阪~松山、大阪~博多などの区間に、座席主体で寝台車を2両ほど組み込んだ、
「昔の夜行急行列車のような列車」
を運行すれば、安価でインバウンドにも利用されるのではないか――というものだった。また、
「JR夜行」
のような専用会社を作り、夜行列車の運行管理を専門に行ってはどうか――という提案もあった。
今回は、この提案が現実的かどうか、感情的な視点を排除し、経済的な合理性に基づいて考えてみたい。