自動車産業の10分の1も、成長は無限大! 農林水産物輸出が切り開く「モノづくり日本」再生への道筋とは?

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日本産農林水産物・食品の輸出額は、円安を背景に2023年に過去最高の1兆4547億円に達し、過去10年間で3倍以上に成長。加工食品や畜産品の輸出が好調で、特にイチゴやカキなどは、世界市場でも注目の的。中国市場の再開に期待がかかる一方で、輸出先は東南アジアや欧州へも広がり、農産物や水産物は「モノづくり」の新たな柱となる可能性を秘めている。

海を渡る農林水産物・食品

水産物のイメージ(画像:写真AC)
水産物のイメージ(画像:写真AC)

 9月中旬に、日本政府と中国政府が日本産水産物の輸入再開について合意したと報道された。実際には、合意したものの再開時期は未定とのことである(産経新聞によると、11月11日時点で、中国は、福島第1原発の処理水海洋放出分析結果を確認後、日本産水産物の輸入を段階的に再開する方針)。

 日本産水産物の禁輸措置が緩和されれば、水産物の需要が回復し価格も上昇すると見られており、期待を寄せる関係者が多い。水産物の関係者が一大消費地である中国の動向が気になる一方で、今や日本産の農林水産物・食品は海を渡って世界各地に届けられている。

 中国による日本産水産物の禁輸措置が始まったときは、ホタテやウニがマスコミで取り上げられていたが、日本各地の生産地では、さまざまな水産物の輸出に力を入れている。宮城、広島といったカキの生産地は、輸出に力を入れており、中国・香港を除くと

・東南アジア
・オーストラリア
・欧州

まで販路を拡大している。山口県下関市の下関ふく輸出組合は、1989(平成元)年から米国向けにフグを輸出しており、シンガポールやマレーシアなどへ販路を拡大してきた。

 農産物の輸出といえば、イチゴを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。畜産産業振興機構の資料によると、2021年の輸出量は1776tであり2014年と比較すると

「8.6倍」

にも成長している。以前は台湾、香港、シンガポールといったアジア中心だったが、米国やドバイにも広がっている。畜産物では、タマゴの輸出が顕著に伸びてきている。

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