路線バス「シートベルト義務化」にすべき? 死亡率大幅低下も、立ちはだかる「短距離移動」という辛らつ現実

キーワード :
, ,
路線バスのシートベルト義務化に関する議論が活発になっている。法的には装着が義務づけられていないが、シートベルトを着用していない場合の死亡率は約3.5倍も高く、利用者の安全意識を高める必要があることが指摘されている。特に観光地ではシートベルトの導入に対する理解が得やすく、ドライバーの負担を軽減し、事故時の責任も減らす可能性がある。今後は、シートベルトを公共交通の安全ツールとして再考することが求められている。

運行状況に応じた柔軟性

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 一般路線バスにシートベルトを装着するかどうかは、路線環境に応じて柔軟に決めるのがよいと筆者(西山敏樹、都市工学者)は考えている。

 現実的に、2024年問題を受けて路線バスの本数を増やすことは非常に難しい。混雑した車内で、ふたり掛け以上の横並びのシートに座る乗客がシートベルトを着用したり外したりすることは、トラブルを招く可能性もある。また、立ち客もいるため、こうした車内でシートベルトを義務化するのは難しいだろう。

 しかし、軽井沢や日光などの観光地で、カーブが多い路線や地方部の閑散路線では、シートベルトの装着に対する理解が得られやすいと考えられる。重要なのは、

・利用者数
・運行状況

に応じた柔軟な対応を心がけ、一般路線バスでのシートベルト着用を開始し、その効果を評価することだ。

 ドライバーから見れば、乗客にシートベルトの着用を指導し、万が一の事故時に乗客がシートベルトをしていれば、安全促進の努力をしていたことの

「証明」

になる。もし車内モニターでその記録を残せれば、ドライバーの心理的な負担も軽減されるだろう。

 また、事故の性質にもよるが、安全促進に努めたドライバーに対しては、事故時の責任を

「減免」

することが、ドライバーの維持や新規確保につながる可能性がある。責任減免が実施されれば、ドライバーにとってはうれしいことだし、事業者側にとっても指導管理の徹底の証しとなる。

 ただし、事故時におけるシートベルトの寄与を客観的に評価することは難しいという課題もある。とはいえ、基本的にバス事業者にとって、シートベルトは自らを守るための重要なツールとなるだろう。

全てのコメントを見る