路線バス「シートベルト義務化」にすべき? 死亡率大幅低下も、立ちはだかる「短距離移動」という辛らつ現実
「路線バスの義務化」必要性

交通事故総合分析センターのデータによると、
・シートベルトを着用していない場合の死亡率:0.58%
・着用している場合の死亡率:0.165%
で、非着用の方が約3.5倍も高くなっている。また、重傷率もシートベルトを着用している方が低くなる。もちろん、これは乗用車のデータに基づいているが、シートベルトによって死亡率や重傷率が低下することに異議を唱える人はいないだろう。
こうした背景から、
「路線バスでもシートベルトを義務付けるべきだ」
という意見がある。特に、ラッシュ時の多客時は難しいが、
・昼間の閑散時間帯
・山間部などの過疎地
ではシートベルトを義務化するのもよいのではないかという声も上がっている。
シートベルトの義務化により、一般路線バス内での利用者の安全意識が高まる啓発効果が期待できるともいわれている。他の公共交通との整合性も考慮されるが、不便さや拘束感よりも安全性を重視する意見も根強い。
乗客関係悪化の危険性

一般ドライバーや事業者の視点から見ると、一般路線バスにシートベルトを装着することには、安全性の向上や現場のストレス軽減が期待される。しかし、シートベルトを着用していない乗客への指導や拘束が
「カスタマーハラスメント」
につながることがある。また、マナーとしてシートベルトの着用が浸透した場合、着用していない人に注意をする側と注意をされる側との間で車内トラブルが発生する可能性もある。さらに、シートベルト自体のメンテナンスも考慮しなければならない。
乗客はすぐに降りることが多いため、過剰に装着を促すと、
「乗客との関係が悪化するリスク」
もある。路線バスの車内の良好な雰囲気を維持する観点からは、シートベルトの義務化が
「やりすぎになるのではないか」
という意見もある。あまりに拘束が厳しいと、路線バスを利用しなくなる人が増えてしまう懸念もある。