日本が「観光地」として海外に選ばれる根本理由【連載】平和ボケ観光論(1)

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日本の観光は、独自の「平和ボケ」が魅力の源泉。2021年の五輪では日本のもてなしが際立ち、訪日外国人は増加中。約90%の若者が平和を実感し、安定した水道水や子ども向け施設、女性の安全な旅行環境が、再訪を促進。日本独自の観光資源として、この「平和ボケ」がますます注目を浴びている。

かけがえのない水に対する安心感

観光地のイメージ(画像:写真AC)
観光地のイメージ(画像:写真AC)

 もちろん、日本以外にも平和な国は多いが、日本独自の平和ボケはどのように育まれてきたのだろうか。その主な要因のひとつは

「水」

だろう。

 日本の国土の約3分の2は山と森林に覆われており、水源が豊富で、水の心配をする必要がほとんどなかった。この水に対する安心感は、日本人にとって非常に大切なものだ。

 さらに、日本は水道水が飲める数少ない国のひとつで、その水道水の品質は世界的にも高く評価されている。日本の水道水は「水道法第4条」に基づいて水質基準が定められており、「大腸菌群数」はゼロが基準で、カドミウムや鉛は1Lあたり0.01mg以下という非常に細かい基準が設けられている。

 世界196か国のなかで水道水が飲める国は、日本を含めてノルウェーやアイスランドなどわずか9か国しかなく、アジアでは日本だけだ。

 観光資源としても水の役割は大きい。多くの飲食店では水が無料で提供され、ウォシュレット付きのトイレが普及していることも、身近な安心感につながっている。また、温泉やホテルの大浴場、銭湯、サウナなどの温浴施設が充実していることも、旅の満足度を高める要因だ。

 さらに、日本は大量の水を使って調理する料理、特に日本そばなどがあり、これも日本独特のフードメニューのひとつだ。日本では水をたくさん使った料理が可能な国でもある。

 ささいなことではあるが、カップ麺やインスタントコーヒーのためのお湯が自由に使えることも、旅のなかではありがたいポイントだ。

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