送迎バス「園児置き去り事故」をなくすために必要なのはテクノロジーか、それとも対人コミュニケーションか

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近年頻発する、バス内の子どもの置き去り事故。これを防ぐために必要なのはテクノロジーか、それともアナログなコミュニケーションか。

ICT化の時代で求められるアナログさ

スマホアプリを使う人のイメージ(画像:写真AC)
スマホアプリを使う人のイメージ(画像:写真AC)

 その中でも、運用開始から10年以上の歴史がある「バスキャッチ」(VISH)や、ベネッセコーポレーションと資本提携し、導入施設が1万1000以上の「コドモン」(コドモン)などは、バス運行の位置情報だけでなく、出欠確認といった業務もカバーしている。アプリを使えば「出席も欠席連絡もない子」が把握でき、保護者へすぐに連絡できるのだ。

 ただ、福岡の事件のように車内に置き去りにされてしまうと、子どもが無事に登校、登園しているのかまでは分からない。

 結局のところ、ICT(情報通信技術)化の時代においても、最も役立つのは「人と人とのコミュニケーション」だ。それは時代が変わっても同じだ。

 通学バスや送迎バスを利用していると「運転手が子どもたちの顔を覚えているのは当然」とつい考えがちだが、どうしても、よく覚えている子とそうではない子の差は出てしまう。日頃から顔と顔を合わせて声を交わしているかどうかで印象の度合いも異なる。そのため、運転手と児童や園児とのコミュニケーション方法について対策を行うことも置き去り防止につながる。

 児童や園児は名札を必ず付けて、乗車の際は必ず彼らからフルネームを言いながらあいさつをする。そして、運転手は名簿を見てチェックをする。出発の際や降車の際には、運転手は児童や園児のひとりひとりの名前を呼び、彼らは返事と挙手をする――。非常に古典的だが、トラブル防止や早期の問題発見には最も効果的だ。

 古典的ゆえに慣れると省略されがちだが、省略したことで安全面が低下する可能性はある。特に同乗する先生がいない場合、実施は運転手ひとりになるため、どうしても時間がかかり、子どもたちから反感を買うことも想像される。

 しかし、先生が定期的に確認作業の重要性を保護者に説明し、児童や園児から協力してもらう必要がある。

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