「ゴネるな佐賀県」 西九州新幹線の部分開業から2年余りも、未合意区間の議論進まず! 石破首相誕生も未来が見えないワケとは
西九州新幹線が部分開業してから2年がたったが、未合意区間についての議論は進んでいない。国土交通省や長崎県、JR九州が求めるフル規格整備の状況は不透明なままだ。
長崎県、JR九州は佐賀駅ルートを主張

これに対し、長崎県が佐賀駅ルートでのフル規格化を支持するのは、西九州新幹線を地域振興の要と位置づけているからだ。14日には通販大手のジャパネットホールディングスが推進するスポーツと商業の複合施設「長崎スタジアムシティ」が長崎市で開業する。
それに加え、ここ数年は長崎市で
・長崎駅ビルの商業施設
・高級ホテルなど大型施設の開発ラッシュ
が続いてきた。長崎県は深刻な人口減少が続き、地盤沈下が著しい。長崎県新幹線対策課は
「早期にフル規格で全線開通させ、観光客らを呼び込みたい」
と力を込める。
JR九州が佐賀駅ルートでフル規格整備を求めるのは、佐賀駅ルートが最も利用を見込めるためだ。乗り換えの不便さを解消して長崎へ来る利用客を増やすと同時に、佐賀-博多間の通勤需要を取り込む思惑もある。JR九州の古宮洋二社長は7月の記者会見で
「白紙から考え直したが、佐賀駅ルートが最適」
と述べた。
部分開業区間の1日平均利用客数は
・1年目:約6600人
・2年目:約6900人
で、国予測の約7300人を下回っている。JR九州は西九州新幹線の収支を公表していないが、売り上げが年間50億円ほどなのに対し、年間維持費が
「約90億円」
かかっているとされ、年間40億円程度の赤字が出ているもよう。収支改善のためにも整備を急ぎたいと見られる。
国交省も最も投資効果が大きいのは佐賀駅ルートと主張している。佐賀県が三者からフル規格での整備を突き付けられる状況を見て
「佐賀県がごねてフル規格整備が進まない」
との見方もあるが、過去の経緯を振り返ると佐賀県ばかりを責められない。