自動車メーカー、円安で絶好調! その裏に潜む「優越的地位の濫用」の影、日商会頭も思わず「違うんじゃないの」と呆れる現実

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自動車業界は2024年度第1四半期に営業利益が増加し、トヨタは1875億円を記録するなど好調だった。しかし、円安や原材料費の高騰が下請け業者に影響を与え、利益の転嫁が難しくなっている。日産は下請け法違反の勧告を受け、コスト上昇分を外部に押し付ける事例も見られた。自動車産業の持続可能性が問われるなかで、適正取引の実効性が重要な課題となっている。

優越的地位の濫用は解消されるのか

2024年5月に発表された「自動車業界」サプライチェーン動向調査(画像:帝国データバンク)
2024年5月に発表された「自動車業界」サプライチェーン動向調査(画像:帝国データバンク)

 2024年3月7日には、日産自動車が公正取引委員会から下請法違反の勧告を受けていた。日産自動車は、2021年1月から2023年5月までの間、自社の原価低減を目的に、下請け事業者の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず下請け代金の額を減じていた。減額した総額は、約30.2億円だった。2020年12月から円安がはじまっており、円安で上昇したコストをここ数年間にわたり下請け企業になすりつけたかたちだ。

 さらに3月15日には、公正取引委員会により独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取り組みに関する特別調査結果が公表された。この特別調査は、取引価格が据え置かれており事業活動への影響が大きい取引先として受注者から多く名前が挙がった発注者を対象に個別に実施した。

 調査を行った企業のうち、協議を経ない取引価格の据置き等が確認された事業者として10社の社名が公表された。このうち自動車関連ではダイハツ工業、三菱ふそうトラック・バスの社名があった。

 日本自動車工業会(自工会)は、5月末に適正取引に関する自工会方針に基づき「適正取引の推進と生産性・付加価値向上に向けた自主行動計画」およびその実効性を高める「徹底プラン」を改訂したと公表した。このなかで、取引対価の協議および原価低減要請に関する望ましくない事例や原材料費・エネルギーコストについては、

「取引先と十分に協議の上で合意した適切なコスト増加分の全額転嫁を目指す」

と記載した。今後は、この自発的な取り組みの実効性が問われることなる。

 原材料費・エネルギーコスト、あるいは人件費の価格転嫁問題以外にも、トヨタ自動車の子会社が下請法違反で勧告を受けた金型の無償保管など、長年の慣習で下請けの中小企業が被ってきたコストもある。

 2023年度決算の営業利益は、トヨタ自動車5兆3529億円、日産自動車5687億円だったが、優越的地位の濫用により

「かさ上げされた部分」

がどのくらいあるのか気になるところだ。

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