自動車メーカー、円安で絶好調! その裏に潜む「優越的地位の濫用」の影、日商会頭も思わず「違うんじゃないの」と呆れる現実
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もちろん円安により製造原価が上昇

もちろん、円安による負の方向の影響もある。
為替変動により営業利益が押し上げられた一方で、
・材料費
・エネルギー費用
など製造原価が上昇したのはいうまでもない。ほとんどの原材料を輸入に頼っている自動車は、製造原価の上昇がまともに直撃した。
例えば、トヨタ自動車の2022年度決算は、為替変動の影響で1兆2800億円のプラスを記録したが、資材高騰による影響が
「ー1兆5450億円」
だった。そのようななか、原価改善や営業面の努力により、トータルで対前年2706億円のマイナスに抑えた。
ちなみに決算で用いた為替レートは、2021年度が1ドルあたり112円、2022年度が135円であり、この約20円の差がジェットコースターのような利益の増減をもたらした。
円安でますます苦しくなる下請け会社

ピラミッド構造の頂点に君臨する自動車メーカーは、為替変動リスクを最小限にするため、
・製品の値上げ
・為替リスクヘッジ
・調達先の見直し
などさまざまな手段を駆使できる。しかしながら、ピラミッド構造の下に位置する下請け会社は、下層になるほど円安に対抗する手段が限られてきて対応が難しくなる。上流に位置する会社が値上げを受け入れれば丸く収まるが、果たして現状はどうだろうか。
帝国データバンクの自動車業界サプライチェーン動向調査(2024年5月24日発表)では、自動車関連の下請け業者6万社のうち約1500社が回答し、そのうち1割が全く価格転嫁できていないあるいは価格転嫁するつもりはないという。
また、価格転嫁できたうち、すべてできたのはわずか約4%で、5割以上ですら約40%にすぎなかった。この調査では、円安による原材料価格やエネルギー価格の上昇分が転嫁できず、下請け会社がますます苦しくなっていることがうかがえる。
また、日本商工会議所が、7月中旬に中小企業の課題や対応を話し合うなかで、地方の商工会議所から
「中小企業は大企業に成長の果実を吸い取られている」
との声が上がっていた。日本商工会議所の小林会頭は、「大企業側が取引価格を引き上げることで中小企業が通常の取引で利益を上げられるようにすることが必要だ」と訴えている。また、テレビ東京の報道によると、5月には
「例えば某自動車は何兆円儲けて、本当はその実儲けの中に、もう経費として下請けに値増し分を払ってやる分が1兆円ぐらいあってしかるべきなんだ。ところがそれ何も入ってない。それで何兆円儲かった。来年度は今年度から3000億出しますって。それってやっぱり違うんじゃないのと」
と、名指しは避けながらも、実質的にトヨタ自動車に対する強い批判を行っている。