全固体電池の開発に成功! 中国の電池メーカー「鵬輝能源」は、EV市場のゲームチェンジャーになれるのか?
広州鵬輝能源が全固体電池の開発に成功、2026年から量産開始予定。エネルギー密度280Wh/kgで、コストは現行のリチウム電池より約15%増。日本企業は品質重視で慎重な姿勢を崩さず、競争が激化するなか、鵬輝能源の動きは業界のゲームチェンジャーとして注目を集めている。
中国企業の躍進と国策
リチウムイオン電池の原料資源が偏在していることや地政学的リスクが背景にあり、日本は早期から全固体電池の開発に着手している。その一方で、中国も急速に追い上げを見せている。
この背景には、両国のシェア獲得に対するアプローチの違いがある。日本企業は品質と安全性を重視して市場投入前に慎重な研究を繰り返しているのに対し、中国企業のなかにはシェア獲得を優先し、早期の市場投入を狙う傾向がある。リチウムイオン電池においても、日本企業は安全性を特に重要視しており、これは中国を含む他国との大きな違いである。このため、市場投入の遅れにもつながっているといえる。
中国企業の勢いがあるのは、EV市場での世界シェアを目指す国策と、電池での成功事例が非常に多いためだ。例えば、現在のEV電池メーカーで世界一の寧徳時代新能源科技(CATL)は2011年に創業した。創業者の曾毓群は福建省の片田舎から出発し、今や世界屈指の大富豪になっている。
全固体電池での成功には大きな可能性があり、特許を保有し開発を行う企業が次々と現れている。今回注目を集めた鵬輝能源は2001年に設立された企業で、比較的長い社歴を持ち、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池から、マンガン電池などの一次電池まで製造している。