西武新宿線がどう見ても「都内屈指の残念路線」なワケ 都立家政駅の“各停1択”が示す限界とは?
時代に取り残された路線
2000年代以降、東京都内の鉄道環境は直通運転の増加やインフラ整備、駅ナカや駅周辺の再開発などにより利便性が大幅に向上した。例えば、副都心線と東横線の直通運転開始(2013年)や、小田急線の複々線化(2018年)などがある。その一方で、こうした流れに取り残されているのが西武新宿線だ。
西武新宿駅(東京都新宿区)と本川越駅(埼玉県川越市)を結ぶこの路線は、利便性の面で
「いろいろと残念な現状」
があるのだ。具体的にリストアップしてみよう。
直通運転ナシ&乗り換え不便が残念
首都圏各地での直通運転や相互乗り入れが増加した現在、西武新宿線だけは独立独歩路線をかたくなに守っている。
東京23区に起点を置くJR以外の鉄道(軌道線、新交通システムなどを除く)で、
・東京メトロ銀座線
・東京メトロ丸ノ内線
・都営地下鉄大江戸線
・都営地下鉄三田線
・京王井の頭線
・つくばエクスプレス
など、独立独歩路線は他にもある。しかし、そのほとんどが複数の駅でさまざまな路線に乗り換えが可能になっている。一方、西武新宿線で他路線に接続しているといえるのは、23区内14駅のうち広義でも
「3駅」
にとどまる。そして、それぞれに残念な要素がある。
西武新宿駅は新宿・歌舞伎町にあるため、新宿に駅のある他路線への乗り換えが極めて不便だ。どの路線でも最低10分弱は歩かなくてはならない。狭義には接続しているとはいい難い状況だ。
その西武新宿駅に代わりターミナル駅の役割を果たしているのが
「高田馬場駅」
だ。ここは、JR山手線、東京メトロ東西線と接続する利便性の高さから、西武新宿駅より1日の乗降客数が多い。2023年は西武新宿駅が14万3181人だったのに対し、高田馬場駅が
「26万4763人」(185%)
だったのだ。それにもかかわらず、2面2線と駅のキャパシティーは西武新宿駅(3面2線)より小さく、ホームも狭い。ラッシュ時は大混雑となる。都心のターミナル駅がどんどん機能的になっていくなかで、ここだけは別世界のようだ。
中井駅は都営大江戸線と接続する。ただし、西武新宿線の中井駅と大江戸線の中井駅はつながっていない。乗り換えるには駅舎の外に出て商店街を数分歩いてアクセスする必要がある。商店街にアーケードがないので雨の日は傘の使用がマストだ。
また、大江戸線の開業から約四半世紀がたったが、西武鉄道は中井駅に準急や急行を停車させない。西武新宿線は直通運転や乗り入れがないばかりか、このように乗り換えの面でもかなり残念な要素があるのだ。