物流トラック「積載率の低下」は本当か?【短期連載】フィジカルインターネットの課題を考える(2)

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フィジカルインターネット実現の必要性として挙げられる積載効率の低下だが、これは本当なのだろうか?「フィジカルインターネットの課題を考える」連載第2話では、本問題を検証しよう。

物流効率、「重量ベース」議論の落とし穴

 もう一つ、積載効率低下の原因として考えられるのは、貨物の荷姿と体積の課題である。

 荷姿として、上積みできない貨物を運ぶ場合、積載効率は大きく下がる。4トントラック標準ボディの場合、荷台サイズは、6200mm×2130mm前後となるが、もし仮に、ほぼ荷台と同サイズでかつ上積みができない重量1トンの貨物を積んだ場合、積載効率は大きく下がる。

 貨物の体積も重要だ。

 トラックは最大積載量の範囲内であったとしても、無制限に大きな貨物を載せられるわけではない。特に、現在主流となっている箱型トラックの場合、荷室の容積を超える貨物は載せられない。仮に貨物の重量がトラックの最大積載量を下回っていたとしても、荷室を超えるサイズの貨物は運べない。

 フィジカルインターネット実現に向けた議論では、積載効率、すなわち「重量ベース」で輸送効率が下がっていると指摘している。そして物流センサスを始め、国が調査してきた統計は、ほとんどが重量ベースの議論であり、「体積ベース」の議論はおざなりにされてきた。

「積載効率が上がれば、トラック輸送の生産性が向上する」というのは、トラックにはまだ積載余力があるという前提に基づいている。だが、貨物の荷姿、もしくは体積ベースで満載であった場合、重量ベースで計算される積載効率で議論を進めれば、とんでもない落とし穴にはまる。

 ちなみに、4トン箱型トラック(標準ボディ)の容積を、一般的な最大積載量(3150kg)で割った場合、1立方メートルあたりの貨物重量は約100kgとなる。原材料系貨物ならばともかく、日用雑貨、家電、食料品、衣料品など、軽い貨物はたくさんある。

 つまり軽い貨物が増えた結果、見かけ上、重量ベースで計算される積載効率が下がっている可能性は十分にあるのだ。

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