物流トラック「積載率の低下」は本当か?【短期連載】フィジカルインターネットの課題を考える(2)
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フィジカルインターネット実現の必要性として挙げられる積載効率の低下だが、これは本当なのだろうか?「フィジカルインターネットの課題を考える」連載第2話では、本問題を検証しよう。
貨物の多品種・小ロット化がもたらすもの

積載効率低下の原因の一つとされる、貨物の多品種・小ロット化についても確認しよう。
営業用トラックにおける貨物1件あたりの重量(流動ロット)は、1995(平成7)年には1.58トンだったが、2000年1.37トン、2005年1.01トン、2010年0.77トン、2015年0.75トンと減少。すなわち小ロット化している。
ではなぜ、小ロット化が積載効率の低下につながるのか?
一つは、日時指定配送の貨物の存在である。
輸送オーダーは一定ではない。貨物量が多いこともあれば、少ないこともある。月曜日は5トン、火曜日は2トン、水曜日は5トンの輸送オーダーがあった場合、日時指定がなければ、毎日4トンずつ運べば良い。だが、いずれの貨物も日時指定があった場合、最大積載量4トンのトラックで輸送するのであれば、月曜日は2台、火曜日は1台、水曜日は2台のトラックが必要となり、輸送効率の低下につながる。
貨物が小ロット化すれば、日時指定が重なる可能性もアップする。
もし、月曜日の貨物が、1トンずつ異なる配送先の貨物であり、かつそのうち3件が午前9時配達指定の貨物であれば、トラックは最低3台必要となる。
2015年における日時指定の貨物総体を見ると、宅配便等混載輸送では全体の75.8%(2010年比1.1ポイント増)、一車貸切輸送では85.2%(同3.6ポイント減)である。
ある運送会社の配送において、1日100トンの貨物を配送する場合、それが4件(25トンずつ)であれば、日時指定が重なり、積載効率が下がる懸念は少ない。だが、1トンずつ100件という小ロット貨物の配送であれば、日時指定が重なり、積載効率を下げる懸念が高まる。