物流トラック「積載率の低下」は本当か?【短期連載】フィジカルインターネットの課題を考える(2)
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フィジカルインターネット実現の必要性として挙げられる積載効率の低下だが、これは本当なのだろうか?「フィジカルインターネットの課題を考える」連載第2話では、本問題を検証しよう。
10トントラックに10トンは積めない
他にも、積載効率が下がっている理由はいくつか考えられる。
以前は過積載が横行していたけれども、コンプライアンス遵守が進んだ結果、過積載が減り、積載効率が減った可能性も高い。2トントラック、4トントラック、10トントラックなどという呼び方をするが、実際は10トントラックに10トン積めるわけではない。荷室や冷蔵冷凍装置、パワーゲートなどの架装や装置を付ければ、その分、最大積載量は減る。
余談だが、以前は荷主から、「4トントラックなんだから、4トン積めるでしょう!」などとゴリ押しされ、嫌々過積載をさせられているといった愚痴もよくあった。現在は、さすがに減っていると期待したいが……。
2021年10月に開催された、第1回フィジカルインターネット実現会議では、物流コストインフラの原因の一つを、積載効率に求めている。だがこれは、本稿で述べたとおり、ミスリードを招く危険がある。
だが、筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)が積載効率に関する懸念を指摘するのは、フィジカルインターネットの可能性を潰すのが目的ではない。むしろ、正しくフィジカルインターネットを進めてほしいがゆえに、積載効率という路傍の石に足を取られないでほしいという、いわば“おせっかい”が本稿の目的である。
本連載の第3話となる次回は、フィジカルインターネットを実現すべき理由について考える。