中国EV企業の果てなき野心! 東南アジア市場 支配のカギ「5000kmの充電回廊」とは何か? 産業構造の大転換はもう始まっている
急増する中国EVの市場シェア
東南アジアでは著しい経済成長が続いている。日本貿易振興機構(JETRO)によれば、2025年の東南アジアの実質GDP成長予測は平均4.6%だ。フィリピンの成長予測は6.1%。続いて、カンボジアが6.0%、ベトナムが5.8%など極めて高い。
東南アジアは、世界経済の新たな成長エンジンとして注目されている。この地域の経済成長は、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国によってけん引されている。
ASEANは、東南アジアの地域協力機構として1967年に設立され、現在10か国が加盟している。さらに、東ティモールが加盟準備中であり、これが実現すれば域内のすべての国家がASEANに参加することになる。
設立時には日本のGDPの約10分の1にすぎなかったが、2023年には日本とほぼ肩を並べるまでに成長。2023年の名目GDP(国内で生産されたモノやサービスの付加価値を表す国内総生産)を比較すると、日本が約4兆2308億ドルであるのに対し、ASEANは約90%にあたる
「約3兆8620億ドル」
まで迫っている。
このようなASEANの急速な経済成長は、世界中の企業にとって大きなチャンスを提供している。特に、次世代の成長産業として期待される電気自動車(EV)分野において、重要な戦略的位置を占めるようになっている。
そのなかでも、中国EV企業の積極的な進出は際立っている。米外交専門誌『ディプロマット』2024年3月2日付に掲載された記事によれば、2023年第1四半期の東南アジアにおけるEV販売は前年比で2倍以上に増加したとしている。原文は次のとおりだ。
「Counterpoint’s data reported a significant uptick in market share for Chinese auto companies in Southeast Asia last year, jumping from 38 percent in 2022 to nearly 75 percent in 2023.(カウンターポイントのデータによると、東南アジアにおける中国自動車メーカーの市場シェアは昨年大幅に上昇し、2022年の38%から2023年には75%近くまで増加した」