大阪の秘境路線「南海汐見橋線」 過疎地ばりの乗降客数がなぜか増加! もしや将来ワンチャンあるのか

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大阪市の真ん中を走りながら、過疎地のローカル線並みの乗降客しかいない南海電鉄の汐見橋線。廃止のうわさも絶えないが、乗降客はわずかずつ増加に転じている。

汐見橋駅と木津川駅は乗降客がほぼ倍増

シャッターを閉じた店舗が並ぶ西天下茶屋駅近くの商店街(画像:高田泰)
シャッターを閉じた店舗が並ぶ西天下茶屋駅近くの商店街(画像:高田泰)

 ところが、大阪府統計年鑑を見ると、2000年代まで減少の一途だった汐見橋線の乗客が増加に転じている。1990(平成2)年に800人以上の1日平均乗降客があった汐見橋駅は、2007年に約330人まで低下したが、その後は2010年に400人台、2014年に500人台、2018年に

「600人台」

を回復した。

 その他の駅で乗降客が最少になったのは、芦原町駅と津守駅が2014年、木津川駅が2012年、西天下茶屋駅が2018年。これら4駅もその後はコロナ禍まで増加が続いている。汐見橋駅と木津川駅に限れば、乗降客数がほぼ倍増した。

 南海電鉄は

「詳細な分析をしておらず、増加の原因は分からない」

としているが、沿線住民の間では阪神電鉄なんば線が2009年に開通し、汐見橋駅の隣に桜川駅が開設されたことで西九条や神戸、尼崎方面への移動が便利になったことを挙げる声が多かった。

 西天下茶屋駅近くの商店主は

「梅田や難波へ行くときは自転車で天下茶屋駅へ行き、南海本線か大阪メトロ堺筋線に乗るが、西九条や神戸に行くには汐見橋線が便利や。去年は京セラドームのプロ野球日本シリーズや甲子園球場の阪神戦に利用した」

という。沿線には高校があり、地域の足として欠かせない一面もある。西成区は利用促進などの対応をしていないが、高齢化が進む地域のコミュニティ維持を積極的に支援している。西成区総合企画課は

「高齢者や高校生の足でもあるだけに、汐見橋線の動向を注視している」

と話した。

 乗降客数が増加傾向にあるとはいえ、現在の数字が危機的水準であることに変わりない。利用をもっと伸ばすには衰退が続く沿線の活性化が必要だ。地域の足である鉄道を維持するためにも、大阪市が近年、力を入れる西成区振興策の次の一手が待たれる。

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