世界のEV市場をけん引、多様な事業展開の全貌【短期連載】進撃のBYD(5)
公共交通の電動化で深センでの成功を収め、世界的にも影響を拡大。BYDは持続可能なエネルギーエコシステムの構築を進め、EVシフトを加速させる存在として注目されている。
BYDの多様な成長戦略
このように、EVの普及を軸にインフラ整備も手がける事業の多様性こそが、BYDの成長が加速している理由といえるだろう。
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太陽光パネルや蓄電設備など、EVを動かす不可欠な部分にも同社の技術は欠かせない。BYDが目指すのは、EVと再生可能エネルギーを組み合わせた持続可能なエネルギーエコシステムの構築だ。そのために、BYDは大規模な蓄電プロジェクトの受注・建設・運用も行っている。
中国国内では、重慶市璧山区にある中国国内最大の単一ユーザー向け蓄電プロジェクトを担っている。ここでは、年間約700万kWhのピークシフト電力を供給し、重慶の電力グリッドに最大67MWのピーク電力を提供できるという。
中国国外では、BYDはスペインの独立系発電事業者グレナジーと協定を結び、チリで建設される世界最大の4.1GWh蓄電プロジェクト「アタカマ砂漠オアシス」向けに、1.1GWhの大型蓄電システムを供給。2136台のMC Cube ESSユニットを提供する計画だ。
このように、BYDは大規模な蓄電プロジェクトの受注・建設・運用を通じて、
・再生可能エネルギーの普及
・電力システムの安定化
に大きく貢献しているのだ。太陽光発電や風力発電などの変動性の高い電源を大量に電力システムに取り込むには、大規模な蓄電設備が不可欠となる。BYDはEVで培った高性能な電池技術を生かし、GWh級の大型蓄電システムを開発・供給することで、再エネ主力化時代のすべてをになっているのである。