世界のEV市場をけん引、多様な事業展開の全貌【短期連載】進撃のBYD(5)

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公共交通の電動化で深センでの成功を収め、世界的にも影響を拡大。BYDは持続可能なエネルギーエコシステムの構築を進め、EVシフトを加速させる存在として注目されている。

EVシフト支える循環型バリューチェーン

循環経済のイメージ(画像:写真AC)
循環経済のイメージ(画像:写真AC)

 これは、環境負荷の低減だけが目的ではない。電池の製造には、コバルトやニッケル、リチウムなどのレアメタル資源が大量に必要となる。コバルト、リチウムなどレアメタルの争奪戦が展開され、価格も高騰するなか、車載電池の回収・再利用は必然だ。

 レアメタルの偏在を考えると、リユース・リサイクルによってレアメタルを確保することは、EVシフトを進める上で死活的に重要な意味を持つ。欧州でも、欧州連合(EU)議会が掲げるゼロエミッション車の普及目標が達成されれば、2050年にリチウム需要が60倍に拡大すると見込まれている。

 そこで、EUは2020年12月、サーキュラーエコノミー(循環経済)行動計画の一環としてEV製造における資源循環に向けた規制案を公表した。それによると、2024年7月からEV用・産業用電池を対象に製造工程を含むライフサイクル全体で二酸化炭素排出量の申告を義務付け、2027年に排出量の上限規制の導入と併せて、コバルト・リチウム・ニッケルなど原材料使用量の開示を義務付けるとしている。

 日本でも太陽光発電設備などが普及する一方で、使用後の処理が課題になりつつある。しかし、BYDは、その未来に既に対応しつつある。

 BYDは、リユース・リサイクルの重要性を早くから認識し、その仕組みの確立に向けて積極的に取り組んでいる。電池メーカーとしての強みを生かし、電池の新品製造からリユース・リサイクルまでを一貫して手がけることで、EV時代に欠かせない循環型のバリューチェーンを構築しようとしている。

 この取り組みは、単にBYDの競争力強化にとどまらない意味を持つ。レアメタルの偏在やリチウム需要の急増を考えれば、リユース・リサイクルによるレアメタルの確保は、EVシフトを進める上で死活的に重要だ。欧州や日本でも、使用済み電池の処理が大きな課題となりつつあるなか、BYDは先んじてその解決策を提示しようとしている。

 BYDの動きは、EV時代を見据えた長期的な視点に基づくものであり、その先見性と実行力は、同社がEV市場で重要なプレーヤーとしての地位を確立していく上で大きな強みとなるだろう。BYDの取り組みは、EVシフトを進める各国・地域にとって、循環型経済の実現に向けたひとつの指針となるに違いない。

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