世界のEV市場をけん引、多様な事業展開の全貌【短期連載】進撃のBYD(5)

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公共交通の電動化で深センでの成功を収め、世界的にも影響を拡大。BYDは持続可能なエネルギーエコシステムの構築を進め、EVシフトを加速させる存在として注目されている。

EV普及で変わる生活様式

ドイツ・ミュンヘンで開催された国際モーターショー(IAA)の全体会議で講演するBYDの創業者、会長兼最高経営責任者(CEO)の王伝福氏(画像:EPA=時事)
ドイツ・ミュンヘンで開催された国際モーターショー(IAA)の全体会議で講演するBYDの創業者、会長兼最高経営責任者(CEO)の王伝福氏(画像:EPA=時事)

 BYDアジアパシフィック自動車営業事業部総経理の劉学亮氏は、講演でこう語っている。

「あらゆる国や地域がこの自動車の電動化を始めていくのは確実な流れです。やるかやらないかではなく、どういうふうにやっていくかを常に考えています」

 EVは、従来のガソリン車以上に、ライフスタイルそのものを大きく変えるポテンシャルを秘めている。充電・蓄電システムをベースにした電化が当たり前の生活が広がれば、脱炭素化の流れが加速し、プラスチックやペットボトル製品のあり方も変わっていくだろう。

 かつて、大都市圏の鉄道会社は沿線住宅地の開発やスーパーマーケットなどの出店により成長し、沿線住民の生活全般に関わり、利益を生み出すビジネスモデルを構築していた。まさに、中国のEVメーカーが今目指していることだ。

 これまで見てきたように、BYDは、EVを核に、電池から再生可能エネルギー、リユース・リサイクルまで、脱炭素社会の基盤となる要素をすべて手に入れようとしている。これは、EVで世界の覇権を握ろうとする中国の戦略の象徴ともいえる。

 BYDの展開は、EVという新しいモビリティがもたらす生活や社会の大転換がどのようなものになるかを示している。だからこそ、私たち日本に住む人間はBYDの未来を

「称賛も非難もせず」

淡々と注視し続ける必要があるのだ(連載終わり)。

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