率直に問う 「フェリー業界」に未来はあるのか? 輸送量倍増・観光客6000万人目標時代に考える【短期連載】海洋国家にっぽんのフェリー進化論(4)
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フェリーは日本の交通手段として不可欠だが、労働力不足や旅客減少、高コストという課題が山積。物流と観光の未来を見据え、環境対策、省人化、サービス向上が求められている。政府目標は2030年までに訪日外国人旅行者数6000万人。フェリーが新たな観光資源となり、技術革新とMaaS導入でその需要を取り込むことが期待される。
国内フェリーの技術革新とデジタル化

国内フェリーの技術革新は、
・環境対策
・省人化
・サービス向上
の分野で求められている。当然フェリーにもCO2削減など環境対策が求められており、ディーゼルエンジンで発電してモーターで航行するスーパーエコシップや液化天然ガス(LNG)を燃料とするさんふらわ くれないなど、技術開発が着々と進んでいる。
フェリーの電動化は、環境対策に恩恵をもたらすだけでなく、機関部の要員が省略できるなど省人化が図れるメリットがある。究極的には無人航行だろうが、そこまでたどり着かないまでも、ブリッジの改善や安全設備を充実させることで、必要な乗組員の体制を見直せる余地は残されている。もちろん、離着岸の自動化など地上側の省人化も着々と技術開発が進んでいる。
サービス向上では、インバウンドを考えるなら
・他言語対応
・MaaS(次世代移動サービス)による他の交通手段との連携
が欠かせない。これは筆者(山本哲也、交通ライター)の経験であるが、広島の尾道を訪れて対岸に渡るフェリーに乗ってみたいと思っても、正直にいうと
「乗船券の買い方」
がわからなかった。正解は、対岸あるいはフェリー内で現金を支払うのであるが、外国人であればもっとわからないだろう。せっかくインフラとして、あるいはちょっとした船旅を味わう手段としてフェリーがあるのに、生かしきれていないもったいなさを感じた。
ただ、中小の運航会社に単独でキャッシュレス決済などへの投資を迫るのは“無理筋”とも思えなくもない。観光振興関連の補助金だけでなく、MaaSを活用して移動手段あるいは観光資源としてシームレスに利用できるような方策が求められる。