「自動運転 = 最新技術」と思いきや、無人バスが30年以上も運行される国があった!【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(22)

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世間では自動運転は最近の技術だと思われているようだが、オランダでは30年以上前から自動運転技術を使ったシャトルバスが公道で商業運行されていることを知る人は少ない。

地域課題解決へのアプローチ

ロッテルダム(画像:写真AC)
ロッテルダム(画像:写真AC)

 第2世代はグローバル交通オペレーターのコネクシオン社が担い、シャトルの最高速度は34km/h、ピーク時は2.5分間隔で運行し、1時間に500人の輸送が可能である。運賃は市全体の運賃体系に統合され、地域の公共交通システムに組み込まれている点も興味深い。

 パンデミック(世界的大流行)で3年ほど運行を休止していたものの、2022年12月頃から、第3世代の新型車両に置き換えられ、パークシャトルIIIとして運行が再開した。車両内の目的地指定のボタンはタッチパネル式に刷新され、午前6時~午後9時まで、6台の新型車両がグローバル交通オペレーターのトランスデヴ社により運行されている。

 パークシャトルの横幅は140cmほどであり、1車線分の幅員があれば相互交通が十分実現可能であることをロッテルダムの30年の知見から学ぶことができるだろう。ラストワンマイルの輸送に対して、停留所での待ち時間を2~5分以内のデマンド運行とするためには、6台の車両があれば可能であることも、この区間が証明している。

 このビジネスパークも住宅などの転用も進め、現在は空室もなく7000~9000人が沿線に居住しているそうだ。パークシャトルが存在していることも再開発地区の再生によい効果をもたらしていることは間違いない。

 自動運転の技術レベル(0~5までの6段階)にとらわれることなく、

・地域の課題解決に寄り添った身の丈に合った技術
・地域全体の移動を支える交通ネットワークとそれを支える役割の応じた技術
・これらの着実な定期的なアップデートの大切さ

をロッテルダムの持続的かつ先進的な取り組みはわれわれに教えてくれているのではないだろうか。

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