四国は新幹線「空白地帯」 地元で構想加速も、経済効果は本当にあるのか?
構想は1973年から
四国での建設構想自体は、基本計画路線の決定が1973(昭和48)年と古い。瀬戸大橋が1988年に開通すると、四国でも新幹線を求める声は強まっている。
この時期、中国地方でもJR伯備線の走る岡山~米子(鳥取県)~出雲(島根県)間に中国横断新幹線の導入を求める声があった。
こちらは1994(平成6)年に地元で組織された中国横断新幹線整備協議会が調査報告書を国に提出。1995年1月には、中四国の政財界によって島根県松江市~高知市までの新幹線建設を求めるシンポジウムも開催されている。1996年には中四国9県の知事や経済団体の代表らによる「中四国サミット」が開催されているが、ここでも中四国横断新幹線の実現を国に求めていくことが確認されている。
中国横断新幹線を求める声は今でも鳥取・島根両県では根強いが、より熱のある運動を行っているのは四国だ。四国新幹線整備促進期成会が結成された2017年以降、国に対する要望の提出や集会、広報活動も活発に行われている。
強力なライバルはLCCの空路
ルートの問題は別にして、新幹線ができた場合にはどれほどの効果があるのか。四国新幹線整備促進期成会が目に見えるものとして取り上げているのは、
「東京・大阪への速達性」
だ。
東京が目的地の場合、リニア中央新幹線を利用して
・高松市から2時間32分(現状4時間23分)
・松山市から2時間55分(現状6時間8分)
となり、新大阪が目的地の場合は
・高松市から1時間15分(現状1時間44分)
・松山市から1時間38分(現状3時間30分)
で、4県の県庁所在地もそれぞれ1時間以内で結べるとしている。
ただ、速達性が主張されている一方で気になるのが運賃だ。高松から東京へ行く場合は、岡山駅で新幹線に乗り換えて片道1万470円。飛行機の場合、高松空港には格安航空会社(LCC)のジェットスターが就航しているので、より安価になる(最安値で片道4590円)。夜行で10時間以上かかるものの、高速バス路線もある。ジェットスターは松山と高知にも就航しているため、新幹線にとって空路は強力なライバルになる。
この検討材料になるのが北海道新幹線だ。東京駅から始発の新幹線に乗ると、新函館北斗駅に到着するのは10時32分。朝6時台に羽田空港を出発する飛行機に乗れば、9時頃には函館市まで行ける。新幹線の運賃は2万3430円だが、飛行機の運賃も繁忙期でなければ同程度になる。