「うちのドライバーは馬鹿ばかり」 中小社長の暴言から浮かび上がる、運送業界の構造的病理

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「うちのドライバー、バカばっかりだからさ」──謙そんと言うには、あまりに露骨な言葉である。ある運送会社社長が発したこの言葉の背後には、運送業界が抱える大きな課題が隠れている。

必要なのは「教育機会」ではないか

 運送業界は、無数の中小企業による集合体である。

 国内約6万2000社の運送会社の71.6%が従業員20名以下であり、従業員数が1000名を超える大企業は、わずか0.1%、68社しか存在しない。従業員を100名以下に拡大すると、96.7%の運送会社が該当する。

 運送会社の経営者は、いずれも運送ビジネスのプロフェッショナルである。だが経営のプロフェッショナルと呼べる人がどれほどいるのかは、残念ながら疑問である。

「算盤勘定は苦手だから、税理士先生にすべて任せてるよ」──確かに、中小企業では財務に明るいことよりも、強いリーダーシップやカリスマ性を発揮する経営者が求められることもある。

 だがそれは、中小企業の経営者にとって財務マネジメントが不要であることとは違う。同様に、組織マネジメント、人事マネジメントなどの経営者として必要な能力は、会社の規模や業界によらず、必要であるはずだ。

 大企業であれば、課長、部長、役員へと出世していく上で、経営スキルがあるかどうかは精査される。また、最近では幹部候補となる社員に対し、ビジネススクールなどによるリカレント教育を行う企業も増えてきた。

 だが中小企業では、経営スキルを身に付ける機会はどうしても大企業に比べて少ない。中小運送会社の経営者のなかには、トラックドライバーとしての現場経験は豊富でも、経営に対する教育経験がないまま、親の跡を継いで社長となった人もいるだろう。

「知識は力」である。そして、知識は教育によって身に付けるものである。教育の機会が少なければ、どうしても力不足となってしまう。

 その意味で、「うちのドライバーは……」と口にしてしまう運送会社社長も、きちんとした教育を受けてこなかった“被害者”なのだ。

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