「うちのドライバーは馬鹿ばかり」 中小社長の暴言から浮かび上がる、運送業界の構造的病理

キーワード :
, , , , ,
「うちのドライバー、バカばっかりだからさ」──謙そんと言うには、あまりに露骨な言葉である。ある運送会社社長が発したこの言葉の背後には、運送業界が抱える大きな課題が隠れている。

絶対「ばか呼ばわり」してはいけない理由

 このような例はいくらでもある。

 私は、運送会社における安全対策のお手伝いもしている。輪止めや指差呼称といった基本的な安全対策を提案したところ、役員たちから「うちのドライバーには無理ですから」と全否定されたこともある。

 別の運送会社にある配送の仕事を持ちかけたところ、「うちのドライバーは力仕事はできるけど、複雑で繊細な仕事は無理です」と言われたこともある。

 もし謙そんの気持ちがあるとしても、自社のドライバーはもちろん、従業員を“ばか呼ばわり”するのは絶対に駄目だ。これは謙そんではない、侮辱だ。

 例えば、システム開発会社の社長が「うちのシステムエンジニアはばかばっかり」と言ったら、そんな会社にシステム開発を頼む人はいないだろう。例えば、「うちの営業はばかしかないんです」と言う保険会社がいたらどうだろう。そんな会社から保険を契約する人なんているわけがない。

 ドライバーに限らず、自社従業員を侮辱することは、社員のみならず、利用者に対する冒涜でもある。さらに言えば、業界全体への冒涜でもある。

 経営者であれば、絶対に従業員をばか呼ばわりしてはならないのだ。

全てのコメントを見る