本来は別物! 日本で「モーテル」と「ラブホテル」が混同される、実に味わい深い理由
“秘匿”の時代に需要増
モーテルの拡大はちょうどラブホテルが拡大した時期と重なる。
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それまで安価な旅館やホテルは“連れ込み宿”的な利用のされ方が見られた。ラブホテルやモーテルはその専用施設として開発されていった。モーテルは車で直接部屋の前まで行くことができ、他の人と鉢合わせすることが少なく、秘匿性が高い。そのため、ラブホテルとしての利用が活発になったと考えられる。
国内では対面型のフロントを設けず、ラブホテルのように小窓で鍵を受け渡す形が多かった。また、入り口からのぞけないようにのれんのようなビニールの目隠しがつけられたりもした。
場所も人目につきにくいところが多く、民家のまばらな地域で、幹線道路から入り込んだ場所に位置することもあった。地方の何もない道路を夜走っていると、暗闇のなかにモーテルへ誘導する看板が浮かび上がり、
「この先〇〇〇mに▲▲ホテル」
と何mおきに幾つもの看板を設置し、しつこく誘導する施設も見られた。
今でもラブホテルに入るところを知人には見られたくないだろうが、当時は異常なまでに利用に人目をはばかった。当時と今では結婚や男女交際に関する規範意識が大きく異なっている。
まだ見合い結婚が多く、婚前交渉はよしとされていなかった。また、既婚男性の貞操観念も決して高くなく、浮気もあった。当時の社会通念もあって、後ろめたい感覚があり、とにかく人目につかないように利用したい考えが強かったのだろう。モーテルは世間から隠れる場所としてちょうどよかったのだろう。
モーテルは秘匿性が高いことにより、犯罪者が逃げ込んだりして犯罪の温床になりやすく、また、風紀が悪くなるとして地域住民の反対運動も持ち上がった。そのため、1972(昭和47)年の風俗営業等取締法の改正により、ラブホテルと類似した構造のモーテルの営業が規制されるようになった。
それ以降、モーテルは数を減らしている。バブル経済以降はラブホテル自体も数を減らしてきている。若者のライフスタイルや志向が変化し、住環境も著しく改善された。シティホテルをラブホテルの用途で使うものも増えていった。