まさかの「EV開発撤退」 アップルが露呈した“異業種参入”という名の巨大リスク

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アップルのEV開発計画が事実上破棄された。同社は2014年から開発に多くの予算と人材を投入していた。今後はどうなるのだろうか。

EV市場の現実と失速感

2024年2月27日発表。主要メーカーの電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売台数推移(画像:マークラインズ)
2024年2月27日発表。主要メーカーの電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売台数推移(画像:マークラインズ)

 実際、リアルタイムで会話をするコンシェルジュAI、画像処理・制作AI、文書作成・翻訳AIなどの分野で、AIの進歩は著しい。アップルがこれらの分野で業界をリードすることは、同社の主力製品である汎用コンピューターやスマートフォンの市場価値を高める上で極めて有益だ。

 思えば、アップルが2014年頃に自動運転EV市場への参入を決めたのは、その将来性が盛んに叫ばれていた時期に相当する。しかし、自動車業界以外からの新規参入には相応のコストがかかり、開発自体もスムーズに進まなかった。開発そのものは順調に進まなかった。こうしたことがやがて同社の経営を圧迫するようになった。これらの要因が重なって、アップルの決断に至った。

 EV市場には、自動車業界以外からの新規参入が有利とされた時期があった。それは、旧来のクルマづくりに縛られることなく、自由に新技術を導入できるからだが、それが可能なのは市場が右肩上がりであった場合に限られる。

 これまで世界のEV市場をリードしてきた中国の状況を振り返ってみよう。中国汽車工業協会のデータによると、2023年度の中国におけるEV、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)の生産台数は958万7000台で、前年度比35.8%増となった。販売台数は前年度比37.9%増の949.5万台となった。

 この数字だけを見ると悪くないように思える。しかし、2022年の販売台数は前年の約1.9倍である。2021年の販売台数が前年比約4.5倍と爆発的な急成長を遂げたことを考えると、販売台数は伸びているものの失速感は否めないのが現実だ。

 そうしたなか、北米や欧州市場ではEVからハイブリッド車(HV)への回帰がうわさされるなど、EVを取り巻く状況は暗雲すら漂い始めている。

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