まさかの「EV開発撤退」 アップルが露呈した“異業種参入”という名の巨大リスク

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アップルのEV開発計画が事実上破棄された。同社は2014年から開発に多くの予算と人材を投入していた。今後はどうなるのだろうか。

AI開発の遅れと課題

アップルカー(画像:バナラマ、アップル)
アップルカー(画像:バナラマ、アップル)

 2024年2月27日、ブルームバーグ発の電気自動車(EV)業界を驚かせるニュースが世界を駆け巡った。それは、2014年から多くの予算と人材を投入して開発を進めてきたアップルのEV開発計画が、事実上白紙撤回されることになったというものだった。

「タイタン」と名付けられたアップルのオリジナルEVは、EVであると同時に、完全な無人運転を可能にするレベル4の自動運転を目指していた。この流れは、昨今のEVや人工知能(AI)による自動運転の最終目標でもあった。

 この開発が中止を余儀なくされたという事実は何を意味するのだろうか。第1報から1か月が経過したが、続報はない。

 第1報自体は、ジェフ・ウイリアムズ最高執行責任者とケヴィン・リンチ技術担当副社長が連名で、EV開発部門で働く約2000人の専任従業員に向けて社内通達したとされているが、アップルから正式なリリースはまだ出されていない。

 アップルが自動運転EV開発計画からの撤退を決めた背景には何があったのか。ここでは複数の理由が議論されている。

 そのなかでも最も大きな理由は、安全で信頼性の高い自動運転技術に不可欠なAI技術の開発が遅れたことだといわれている。アップルは2017年頃からEVを制御するAIの本格的な開発に着手した。しかし、当初のAI技術の優位性とは裏腹に、実際の開発はEV本体とともに難航した。特にコストが増大し、それが次第にアップルの経営を圧迫し始めたことが問題となった。

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