「当事者が払え」「企業努力が足りない」 日本人はなぜ“公共交通”を税金で支える感覚がないのか?【連載】ホンネだらけの公共交通論(1)

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「交通税」に対しては、特に自家用車利用者の間で強い反対がある。日本人は、全ての人のために公共交通を守るという価値観が希薄なのだ。

社会的合意の必要性

ローカル鉄道のイメージ(画像:写真AC)
ローカル鉄道のイメージ(画像:写真AC)

 しかし現実には、答申にもあるように、地域の公共交通の維持・充実は、地域生活のあらゆる側面を支える基礎的なニーズである。

 高齢化、けが、病気などで自家用車を永続的に運転できる保証は誰にもない。将来への投資として、税負担額と徴収された目的税の使用方法に関する質と量について、生活者としっかりとした社会的合意を形成していくプロセスが不可欠となる。それこそが、交通税対策の円滑な運用につながる。

 鉄道事業者やバス事業者も、

「車両更新にこれだけの費用がかかる」
「運転士の確保にこれだけの費用がかかる」
「将来の維持発展のための新規技術にこれだけの費用がかかる」

などの情報を開示し、合意を得ながら、バリアフリー運賃のように目的別の運賃をプラスでとる、目的別交通税をプラスでとる方法もありうる。まさしく、医療の世界におけるインフォームド・コンセントの感覚であり、日本の交通界に必要なものである。

 以上のような社会動向を踏まえると、公共交通システムそのものを維持するための支払い意思額を正確に調査する手法は、今後ますます社会的な重要性を増す可能性が高い。

 公共交通システムそのものから、個々のエレベーター、エスカレーター、誰でもトイレなど、さまざまなインフラに至るまで、その負担のあり方、すなわち負担額や改善策の質・量について、皆が検討し、決定することが不可欠となっている。

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