「当事者が払え」「企業努力が足りない」 日本人はなぜ“公共交通”を税金で支える感覚がないのか?【連載】ホンネだらけの公共交通論(1)

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「交通税」に対しては、特に自家用車利用者の間で強い反対がある。日本人は、全ての人のために公共交通を守るという価値観が希薄なのだ。

交通税導入への反発

 こうしたなか、2022年4月20日、県税制審議会の諸富徹会長(京都大学教授)は、鉄道など公共交通の運営を維持するための新たな財源として、滋賀県民に負担を求める交通税の導入を求める答申を三日月大造知事に提出した。

 答申には、

「地域公共交通の維持・充実は地域の暮らし全般を支える基礎的なニーズで、地域公共交通を支えるための税制の導入に向けて県民と議論を行い、具体的に挑戦することを提言する」

旨などが記されている。滋賀県の流れは、公共交通を維持するための目的税である交通税の導入に踏み込んだ政策動向として注目されている。

 ただし、交通税の考え方は、公共交通を利用しない人も含めた

「自治体内の生活者の全体」

が費用を負担し、経営を維持するという原則に基づいている。固定資産税、県民税、自動車税などの既存税に上乗せされる見込みで、導入されれば滋賀県が全国初となる。

 しかし、自家用車利用者を中心に、過度な税負担を強いる交通税への反発は根強い。筆者は日本各地を回って関連調査を行ったが、大半は

「自家用車があるのだから交通税をとる必要が感じられない」
「鉄道事業者やバス事業者の努力が足りないだけ」
「税金を投入しても人口が減るし効果が見込まれない」
「そもそも鉄道やバスに乗る人が払えばよいだけ」

という声ばかりだった。日本人は公共交通を皆で守るという価値観がほとんどなく、調査の過程でがっかりした記憶がある。

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