「当事者が払え」「企業努力が足りない」 日本人はなぜ“公共交通”を税金で支える感覚がないのか?【連載】ホンネだらけの公共交通論(1)

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「交通税」に対しては、特に自家用車利用者の間で強い反対がある。日本人は、全ての人のために公共交通を守るという価値観が希薄なのだ。

公共交通事業の持続性

ローカルバスのイメージ(画像:写真AC)
ローカルバスのイメージ(画像:写真AC)

 こうした動きをきっかけに、政策実務や研究の世界でも

「交通税」

に関する議論が再燃している。2022年4月時点、滋賀県では鉄道などの公共交通を維持するための税金である交通税の導入に向けた議論が本格化している。

 交通税そのものについては、筆者(西山敏樹)のような都市交通研究者の間でも長らく議論されてきた。交通税の理念は、交通と移動の権利を平等な基本的人権として位置づけ、公共交通事業を生活者全体にとって永続的なものとする目的税である。

 先のバリアフリーやユニバーサルデザインの運賃上乗せは、鉄道駅のエレベーター、スロープ、トイレなどの整備などに充てられる。一方、交通税の主な目的は、公共交通事業そのものを維持することである。要するに、この税の目的は、公共交通システムが使いやすく、ユニバーサルデザインによって誰もがいつでも利用できる状況を確保することにある。

 滋賀県は大阪や京都といった大都市のベッドタウンが多いにもかかわらず、モータリゼーションが顕著な問題となっており、鉄道やバスの利用者が大幅に減少している。

 県内を走る近江鉄道は赤字削減のため、2024年度から鉄道施設や車両は自治体が所有し、運行は事業者が担う「上下分離方式」の導入を計画している。鉄道、道路、空港などの上部(運行・運営)と下部(インフラ保有・管理)を分離し、両組織の会計を独立させることで、公共交通事業の持続可能性を確保する。

 多くの場合、国や地方自治体が下部を担う。また、JR西日本は2022年4月11日、利用者の少ないローカル線の収支を全国に先駆けて公表しており、滋賀県内も含めた厳しい経営状況が示された。2022年3月のダイヤ改正でも、滋賀県内の路線で大幅な減便が行われ、厳しい経営状況を表象する事例になった。

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