宇都宮LRTに便乗? 和歌山市「LRT導入検討」は、ジリ貧続く人口減“鉄冷え”の街を再生できるのか

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和歌山市は、2024年度にLRT導入に向けた検討を開始する。宇都宮市「ライトライン」の成功に触発され、2024年度に次世代型LRTの導入に向けた検討を開始する。

初期投資確保と需要の掘り起こしが課題に

和歌山市を代表する観光名所の和歌山城(画像:高田泰)
和歌山市を代表する観光名所の和歌山城(画像:高田泰)

 運行後の採算面も大きな課題だ。

 和歌山市はかつて、住友金属工業(現日本製鉄)の企業城下町だったが、事業縮小で1980年代に関連会社も含めて約3万人といわれた従業員が約1万人に減少し、地域経済が冷え込んだ。中心商店街のぶらくり丁は見る影もないほど衰退している。このため、LRTの需要を掘り起こす努力も必要になる。

 大河ドラマの舞台になったことがある和歌山城に観光面の潜在能力はそれなりにあるはずだが、天守閣の年間入場者は多い年で約20万人。同じ関西でも2022年度で年間50~130万人が集まった大阪城や二条城、姫路城、彦根城に及ばない。期待を込めた甘い予測は禁物だ。

 和歌山市は今後、人口減少が加速し、2060年に約20万人になると推計されている。当然、税収が減り、大きな事業に乗り出す余裕がなくなる。実現可能性調査は綿密でなければならないが、検討を重ねる時間はそれほど残っていない。

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