運転シミュレーターが大人気 近年の鉄道ミュージアムに「体験型コンテンツ」が増えているワケ
鉄道ミュージアムが存在するワケ
国内には車両や鉄道関連の資料を展示する鉄道記念館や鉄道資料館、屋外に車両展示する鉄道公園など、さまざまな鉄道ミュージアムが各地に存在している。
特に中心となるのが鉄道事業者の運営している、いわば企業ミュージアムだ。
企業ミュージアムは元々、車両や技術といった企業資産の保存・研究を目的としたものだったが、現在は地域の観光資源としても重要な位置づけを占めるようになっている。
ということで、今回は観光や集客施設の視点で鉄道ミュージアムを見ていきたい。
今では車両・技術展示がメインに
1990年代までに開発された大型施設を見ると、長く鉄道技術を伝えてきた
・交通博物館(東京都千代田区、2006年閉館)
・交通科学博物館(大阪府大阪市、2014年閉館)
は新しい施設に継承され、現存していないが
・青梅鉄道公園(東京都青梅市)
・碓氷峠鉄道文化むら(群馬県安中市)
・三笠鉄道記念館(北海道三笠市)
などは現存し、蒸気機関車などの車両展示や技術展示がメインのものが多くなっている。
集客規模はおおむね年間10~20万人レベルで、地域の観光施設としても機能している。鉄道はわが国の多様な気候や風土に合わせて地域性があることから、各地方で独自の鉄道ミュージアムが存在し、地域の観光資源となっている。
鉄道ファンだけでなく、一般層が鉄道ミュージアムに興味を持ち始めたのは2007(平成19)年10月14日(鉄道の日)オープンの鉄道博物館(埼玉県さいたま市、通称てっぱく)の功績が大きい。
鉄道博物館は東日本旅客鉄道(JR東日本)の創立20周年記念事業として、大宮の車両解体場跡地に開発。交通博物館の資料を継承して、当時、国内最大規模の鉄道ミュージアムとしてオープンした。
当初は年間100万人規模の集客が見られ、その集客数は中堅テーマパークに匹敵する規模であり、改めて鉄道ミュージアムの持つ集客パワーを世に知らしめた。
その後、2010年前半にかけて鉄道ミュージアムの開発ブームが到来している。ブームと言っても車両展示などの特殊性から次々に開発されるものではなく、1年に1~2施設程度の開発だが、当時は大型レジャー施設開発が停滞していた時期でもあり、地域観光や開発シーンでは新たな集客施設として注目されていた。