消えゆく「地方百貨店」 駅前撤退で自治体お手上げ、跡地再生の“処方箋”はどこにあるのか
島根県松江市の一畑百貨店をはじめ、地方都市の駅前から百貨店が次々と姿を消している。自治体は駅前が「街の顔」とばかりに活性化を図り続けているが、なかなかよいアイデアが浮かばない。
見当たらない駅前再生の処方せん

地方百貨店はかつて、そこでしか買えない商品があり、家族で1日中遊べる特別な場所だった。しかし、百貨店と同程度の商品を販売するショッピングセンターが増え、インターネット通販が台頭した。人口減少が続くなか、都会のような訪日外国人の“爆買い”もない。その結果、21世紀に入って地方百貨店の閉店ラッシュが始まった。
百貨店も集客に知恵を絞っている。愛媛県松山市の松山三越はテナントとしてホテルを誘致、静岡市の松坂屋静岡店は7階全体を水族館に改装した。宮城県石巻市のJR石巻駅前にあったさくら野百貨店石巻店は、石巻市役所になっている。それでも以前のにぎわいを取り戻すのは難しい。
「鉄道やバスの乗客が減っている」
ことも大きな問題だ。そのぶん、駅前に集まる人の数が少なくなる。徳島駅に発着するJR四国の高徳線など4路線はコロナ禍前の2019年度で、1日1km当たりの平均輸送人員を示す輸送密度が1989年度の52~78%に減少した。
駅前を訪れる人も自家用車で来るわけで、有料駐車場を探す必要がある駅前より、広い無料駐車場を備えた郊外のショッピングセンターのほうが行きやすい。自治体が駅前の駐車場を無料化しようとすれば、駐車場業者から“民業圧迫”と批判される。
自治体が身の丈に合わない巨大商業施設を建設して失敗した例は、青森県青森市など全国にある。地方百貨店が
「オワコン」
といわれるなか、駅前再生の処方せんが見当たらず、空洞化が刻々と進んでいる。