消えゆく「地方百貨店」 駅前撤退で自治体お手上げ、跡地再生の“処方箋”はどこにあるのか

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島根県松江市の一畑百貨店をはじめ、地方都市の駅前から百貨店が次々と姿を消している。自治体は駅前が「街の顔」とばかりに活性化を図り続けているが、なかなかよいアイデアが浮かばない。

松江駅前の一畑百貨店が65年の歴史に幕

在りし日の一畑百貨店(画像:アストゥリオ・カンタブリオ)
在りし日の一畑百貨店(画像:アストゥリオ・カンタブリオ)

 島根県松江市の一畑百貨店など地方都市の駅前から百貨店が次々に消えている。地方自治体は駅前が「街の顔」だとしてテコ入れを続けるが、活性化の妙案は浮かばない。

 閉店時刻の18時半を回り、店舗前に人だかりができた。うちわに感謝の気持ちを一文字ずつ書き込んで集まった女性グループもいる。松江市で今月、65年の歴史を閉じた一畑百貨店。「長い間ありがとうございました」。井上智弘専務が涙で言葉を詰まらせながら感謝の言葉を述べると、シャッターがゆっくり降りていった。

 一畑百貨店は1958(昭和33)年、一畑電鉄が開業した。当初は松江城に近い殿町で営業していたが、1996(平成8)年に松江ターミナルデパート(現一畑百貨店)に移管され、1998年にJR松江駅北口の朝日町に移転する。

 最盛期の1992年2月期決算で年間148億円を売り上げ、2008年3月期決算まで売上高100億円を維持したが、その後業績は悪化の一途をたどる。2022年3月期には売上高約57億円、最終赤字4億円以上で債務超過に転落、閉店を決めた。

 松江市と松江商工会議所は2023年12月末、一畑百貨店の閉店を見越して駅前の活性化策を検討する松江駅前デザイン会議を発足させた。施設の老朽化が進む周辺地域も含めた駅前の将来像を秋までに示す考えだ。

 松江市まちづくり推進室は

「駅前を人が集まる場所とする方向で議論を進めたい」

としているが、具体的な将来像は見えていない。一畑百貨店は施設存続に向けたテナント確保と、施設売却の両面で県内外の業者と交渉しているが、難航しているという。

 一畑百貨店は島根県唯一の百貨店。閉店で島根県は

・山形県
・徳島県

に次ぐ全国三つ目の“百貨店ゼロ県”になった。7月には岐阜県岐阜市の柳ケ瀬地区にある岐阜高島屋が閉店し、百貨店ゼロ県がさらに増える。一畑百貨店の閉店日には、広島県尾道市のJR尾道駅前再開発ビルで尾道福屋も閉店した。地方百貨店の苦境は深まるばかりだ。

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