米マクドナルドの新業態はなぜ「完全ドライブスルー」なのか? そしてなぜレーンが4つもあるのか?

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2023年12月、米国マクドナルドはイリノイ州シカゴ郊外に、スピンオフともいえる新業態のファストフード店「コスマック」1号店をオープンした。いったいどんな業態なのか。

外食業界のグローバルシフト

一般的なドライブスルーのイメージ(画像:写真AC)
一般的なドライブスルーのイメージ(画像:写真AC)

 米国の外食産業は、店内で座って食事をする従来のイートイン形式から、ドライブスルーやテイクアウト、デリバリーサービスを通じて自宅やオフィスで食事を楽しむ形式へと着実にシフトしている。

 米消費者調査会社サカーナのデータによると、2023年に外食チェーンの店内で食事をした人は、わずか

「14%」

だという。それ以外はテイクアウトだ。この傾向は、コロナ禍をきっかけに外食が減り、テイクアウトやデリバリーの利用が急増したことに端を発する。今ではごく一般的なライフスタイルになっている。

 マクドナルドでは、コロナ以前は売上の25%を占めていた店内飲食が、コロナ禍以降は10%にまで落ち込んでいる。それでもドライブスルーなどのテイクアウトが補っているため、全体の売上は増加している。コロナ以前からドライブスルーに力を入れてきたことが、大きく実を結んだのだ。

 ドライブスルー客の増加は、店舗にとっても大きなメリットだ。販売の回転が速く効率的なだけでなく、客席での接客が不要になることで、人件費や備品コストの削減にもつながり、収益性向上の一因となっている。

 ドライブスルーの業績を見れば、マクドナルドがコスマックでドライブスルー専用店を選択したのも頷けるし、同業他社もドライブスルーにシフトしているのも当然だ。

 これは米国だけでなく、世界的な傾向である。ヨーロッパなどでもコロナを機に、店舗内での外食が激減している。一方、日本ではどうだろうか。

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