運送会社に忍び寄る危機 話題の「フィジカル・インターネット」は、単に業界の“アマゾン化”を推し進めるだけではないのか?

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新物流ネットワーク「フィジカル・インターネット」は冷静になって考えると、つまるところ「アマゾンの配送システムの普遍化」といえなくもない。いったいなぜか。

迫りくる「2024年問題」

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 物流分野における「2024年問題」とドライバー数の減少などを背景に、新たな物流ネットワーク「フィジカル・インターネット(PI)」の構築がさまざまな団体で検討されている。

 PIは、

・Physical(物理的な、実体のある)
・Internet(インターネット)

を組み合わせた造語であり、インターネット通信における回線を共有して不特定多数で通信を実現した考え方を物流分野に応用したものだ。つまり、

「トラックや倉庫といった物流事業者をインターネットにおける回線とみなし、不特定多数の荷主がその回線を利用して情報ではなく荷物(パケット)を移動させる」

やり方である。

 もちろん、物流事業者を回線として扱い、荷主が自由にアクセスできるようにするためには、荷主ごとに異なる荷物の形状やサイズに物流事業者が個別に対応している現状を再定義し、“高度に共通化”する必要がある。

三つの構成要素

フィジカルインターネットのロードマップ(画像:国土交通省)
フィジカルインターネットのロードマップ(画像:国土交通省)

 高度に共通化するという観点から、PIは次の三つの要素で構成されている。

・コンテナ(輸送容器)
・ハブ(結節点)
・プロトコル(ルール)

 コンテナは、海上コンテナや鉄道コンテナといった大型のものではなく、パレット(商品を単位量ずつ載せる台)や製品・半製品の輸送に繰り返し使用されている通い箱の共通化である。

 ハブは、共通化されたコンテナを積み替えるポイントである。PIでは、ハブにおいてマテリアルハンドリング(マテハン)を使用して効率的に積み替えることが鍵となっている。プロトコルは荷物を発送する側、輸送する側すべての参加者が使用する、共通のルールやネットワークシステムである。

 コンテナ・ハブ・プロトコルの3要素がそろうことで、PIが初めて機能するのであるが、荷主企業から物流事業者まで参加者が非常に多いため、すべてを即時に共通化するのは至難の業といえる。

 そこで、2022年3月に経済産業省および国土交通省により、2040年を目標としたPIのロードマップが策定され、これに基づき研究や開発が進められている。

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